映画館で彼氏とイケナイ事を…

暗闇の中で濃厚なキスを交わす男女を私はただ呆然と見ていた。

角度を変え、啄むように互いの唇を愛おしみ時には舌を絡ませあってベッドに倒れ込む。

それから男は女性のキャミソールを捲り上げてその白い胸にキスを落とす…

何も知人の痴態を眺めているわけではないしアダルトビデオを見ているでもない。

れっきとした普通の、少なくとも広告を見た時の私にとってはごく普通の恋愛映画だったのに。

とは言え大人の恋愛ものなのでR15、中学生以下はお断りの作品なんだけどまさかこんなに生々しいシーンが有るなんて思ってなかった。

普通だと思ったから彼氏を誘ったのに、こんなに過激だなんて。やらしい女の子だと思われてたらどうしよう、

『あぁ…ジャック、素敵…あなたのってとっても硬くて…』

こっちが赤面しちゃうような恥ずかしいセリフがシーンに似合った艶めかしい声で人もまばらな館内に響く。

どうしよう、気まずいし恥ずかしい…顔が熱くなるのを感じながら真理はそっと隣の席を見た。

そこには智樹の何でもないような表情で画面を眺めている横顔があってなんだ変な気分になってそわそわしてるのは私だけか、と安堵の息を漏らした…その時だった。

視線に気付いたのか智樹がチラっとこちらを見た。

(やだ、見てるの気づかれちゃった…)

後ろめたいことなんてない筈なのに思わず視線を反らしてしまう。

けれど、目の前の大きなスクリーンには汗だくで揺れるベッドの上の男女。

普段のテレビや映画ではまず見ることのないあられもない姿と過激な映像につい俯いてしまった。

『あぁ…いいわ、そこ…はぁぁ…』

目を反らしても大音量で流れる嬌声きょうせいと艶めかしいセリフは否応なく真理の耳に入り込み、体の奥を震わせてくる。

(うぅ…やだ、なんかドキドキしてきちゃった…)

お腹の奥がきゅんと疼いてつい太腿を擦り合わせる。

急に俯いてもじもじし始めた真理の異変に、隣りに座る恋人が気づかない筈もなく。

「なにもじもじしてんの?」

「ひゃっ」

突然智樹が耳元で囁いた。

耳が弱いって知っているくせにわざと吐息がかかる程近くで甘い声を出すんだ。

「エロいシーン観て興奮しちゃった?」

「や…ちが…っあ!」

智樹の指が首筋をつぅっとなぞる。

それからそのまま鎖骨に降りて、シャツの上から胸を掠った。

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