思考がまとまらない私に、縁は「だよな」と微苦笑した。
そして「俺の言っていることが信じられないか?」と続ける。
「うん……正直、情報が飲み込めなくて」
「だろうな。そこで提案なんだが――勝負しないか」
「はぁ?」
この男。今日どれほど藪から棒を繰り返すのか。
「俺は、俺が香澄を好きだったことも
、最近の俺が何をしたのかも受け止めて欲しいと思っている」
「う、うん」
「ただ、言葉で伝えるだけでは頷けないだろう香澄の気持ちも痛い程わかる。
だから、実力行使させろ」
は? とも、実力行使って何? とも。
聞き返すタイミングなんて与えられないまま、身を乗り出した縁は再び私の唇を奪う。
「んんっ!」
今度は事故的なものではなくて、はっきり私を襲うような、深いキス。
強く腕を掴まれたまま、重なった唇は角度を変え、
伸ばされた舌が口内へ入ってくる。
舌を絡めとるように口内をなぞり、きつく舌を吸われた。
――ちゅっちゅぽ……はむ
息を奪うような、はむはむと唇の感触を何度も楽しむような深いキス。
「は、ふぁ……んぁっ! はぁ、はぁ……」
やっとキスから解放された私は、
酸欠と緊張でくらくらする肢体を縁に預けてしまう。
私をいともたやすく抱き上げた彼は、ソファに横たわらせた。
「これから、めちゃくちゃ香澄のこと気持ち良くさせる。
そうだな。すくなくとも三回はイかせる」
「さ、ん……っ! いやむりむりむり! 私セックスでイったことない!」
「ほーう」
「じゃあ五回イかせる。全力で奉仕するから……
できたら俺のことを認めろ――許さなくていいから」
………
………
………
「はぁ、んっ! ちゅ……ふぅむ……んん」
角度を変えては互いの息を奪い合い、舌が絡む度に粘着質な水音が響く。
酸欠でくらくらする程、何度も何度も重ねられた唇は、
少しの刺激でもぴりっとしてしまうくらい敏感になってしまい、多分赤く火照っている。
(嘘みたい……)
あの縁が、ゼロ距離にいるなんて。
ぼんやりする意識をはっきりさせられたのは、彼の手が私の服の中に伸びたこと。
「あ……っ」
びくりと緊張する私に
「脱がせなきゃできないだろ」
と視線で訴えてくる縁。
ほら、と促され、私も彼のシャツへ手を伸ばしたが、
まどろっこしいのか自分でさっさと脱いでしまった。
「もう、早いよ……」
手際よく衣服を取られてしまった私は、思わず身じろぎして肌を隠そうとする。
もちろん、そんなことは許してくれず、腕を降ろされ、ブラも外されてしまった。
拘束から解放された胸がぷるんとまろびでたとき、
縁の刺さるような視線にさらに羞恥が煽られる。