忘れられなかった人

「あああああっ！」
　
　くにゅぅっと折り曲げた指が陰核の裏側を持ち上げ、

こちゅこちゅと上下された瞬間。

尿意に似たむず痒さが走り、目の奥がちかちかする。

　――ぢゅるっ……くりゅっくりゅくりゅっ……

「あっあっ！　ナカ、ナカだめ、ああ！　
クリもぉ舐めちゃだめぇ！　おかしくなるよぉ！」

　吸い上げられ、舌で転がされ、甘噛みされ……

隙間なく愛され続けたそこはもう我慢なんてできるわけもなく、

あっという間に絶頂を迎えてしまう。

「イクぅっ！」

　先ほどとは違う。

つま先まで電気が走るような激しい絶頂に、

身体が弓なりにびくん！　と跳ねる。

「はぁはあぁ……あぁ、もぉ、だめぇ……」

　頭では追い付かない程に気持ち良くなってしまった身体は

上手く快楽を逃がすことができないまま、

息をするだけでもびくんくびんと反応してしまう。

　もちろんそれはナカも一緒で、縁が自身をあてがってきたとき、

意図せずきゅんきゅんと締め付けてしまう。

「はは……とろけてるのに、キツいな……っ！」

「ふ、あぁん、イったばっかりなのに……っ！」

「だから、だろ」

　身体の一部とは思えない、熱くて固いものが私のナカへゆっくりと潜り込んでくる。

「ん、あぁっ！」

　身体を味わうようにされると、

恥ずかしさのあまり涙がこぼれた。

「はぁ……やばい、俺のが我慢できねぇかも……っ！」

　体制を少し変えた縁は肩口で汗を拭うと、ぐんっと深く挿入してくる。

「あぁあっ！」

　角度を変え、肉壁をゴリゴリと押し上げてくる。

先ほど指で刺激された場所だというのに、ペニスでの刺激はまたぜんぜん違くて、

荒々しくも思わず締め付けてしまうような気持ち良さに嬌声（きょうせい）
がこぼれた。

「すげ……っ！　締め付け、きつ……！」

　こちゅこちゅと遠慮がちだったピストンは奥を目指すにつれてだんだん動きが大胆になる。

「ああっ！　そこぉ……っ！」

　ごちゅんっと届いてしまった最奥を、鬼頭がぐいぐいと押し上げてくる。

ごちゅんごちゅんと何度も繰り返されるたびに、彼を誘うように締め付けてしまう。

「香澄っ……俺も、やばいっ……！」

　縁の声は切羽詰まっていて、見上げると、

見たこともない切なそうな表情だった。

「……っ！　いいよ……私で気持ち良くなって」

　私は彼の腰に脚を絡めた。

　許すとか、信じるとか。

　ずっと、何年も引きずっていた後悔を全部頭の隅に追いやってしまう程、

目の前の快楽にいっぱいになってしまう。

「あぁっ！」

「くっ……！」

　やがて、同時に果てた私達は何度も唇を合わせながら、

約束の回数まで身体を繋げた。