「ルナちゃん。起きて」
あたしは呼ばれて気が付いた。
「吹雪がひどいから少し脇に駐車するね」
あぁ、そうだ。
高校の先輩だった新さんとごはん食べに行って‥‥‥
お酒飲みすぎで寝てたんだ。
………
………
久しぶりに会った初恋の先輩は、昔と変わらずにかっこいい。
顔立ちとか、服とか、乗ってる車とか、
そんなんじゃない。
先輩の持ってる空気感とか話し方とか、それはもう全部なんだよね。
人を落ち着かせる効果があるのかな?
声すら愛おしいんだなー。
「んみゅー‥‥‥」
お酒にあんまり強くないけど、飲んでしまった‥‥‥。
だって先輩と二人きりなんてめったになかったから、
緊張してお酒が進むよね‥‥‥。
ドキドキして、何を話ししようか悩んで、
んもうたまんなかった!!
溢れんばかりの感情がわっと出て、奥さんとの仲を裂こうと思いそうになった。
けどだめだだめだ。
こんなドロドロした感情を出すことはできない。
先輩優しいからなぁ。
部活で見せる腹ちらとか、得意げなウインクとか、
行動もなにもかもが素敵。
大好き‥‥‥先輩‥‥‥
………
………
「あんまり寝てると‥‥‥オオカミに食べられちゃうよ」
それでもあたしは‥‥‥二年間好きでいた新先輩を思い返せば、そばにいれて幸せに思った。
まだ帰りたくないな。
でも先輩は半年前に結婚したし‥‥‥あたしの初恋はここまでだったんだ。
‥‥‥ん?
なんかふともも‥‥‥
誰かの手があたしの太ももをいやらしく撫でている?
と繰り返している。
「んっ‥‥‥」
何度も何度も行き来する手に、あたしは燃えそうになった。
お酒の力もあるのかな?
というかこの手は‥‥‥!!!