「っあ…も、だめぇ…」
腰を振って喘いでいるのは
「アンタ、誰が好きか言ってみ?」
意地悪く言うこの男性は
実はこの二人、職場内での不倫をしているのだ。
………
………
………
事の発端は一か月前の会社の中。
夏は旦那が出張で長引いていたため、寂しくて会社の医務室で一人、自慰行為をしていた。
偶然にもなかなか達することできないとき、大きくため息をつきながらつぶやいだ。
「いけない…」
そこを偶然居合わせてしまったのが、月影汐だった。
年下の専務で、顔も性格もイケメンと称されて人気な彼の裏の顔を知ってしまった。
「俺がイカせてあげようか?」
「え!?」
混乱した。
だって普段の専務は清潔感があって優しくて、頼もしくて誰からも信頼を得るような人。
その人だったはず。
けど、今夏の目の前にいるのはそんな専務ではない。
明らかに“獣の男”という表情をしている。
ニヤリとする目と口からは、野性的なものを感じ取れる。
夏は膠着したままでいると汐は夏がかけた鍵を開ける。
一瞬、逃げたほうが良いのでは?と思ったが身体が動かなかった。
そして鍵を開けると医務室のベッドの端にあるカーテンをシャッと閉めてから、夏に近寄った。
「腰立たないくらいめちゃくちゃ気持ちよくしてあげるよ」
ドキッとする。
………
………
だってそんなこと、旦那からもそうそういわれたことがなく、男性として魅力的で艶のある言葉に聞こえたからだ。
夏は汐の手に引かれるままベッドに入る。
一応カーテンは閉めているが、鍵は開いている。
誰か入ってくればすぐにばれる。
それでも夏は従ったし、汐は「夏の表情」を楽しみにしていた。
ゆっくりとブラウスのボタンを外される。
なんだか夏は汐に聞こえるんじゃないかと思うくらいにドキドキしていた。