「さっちゃん。こっち来て」
「‥‥‥」
「知ってる?俺、さっちゃんが‥‥さっちゃんだけがずっと好きなんだ」
「‥‥‥!」
「今更‥‥なのはわかってる。けど俺はさっちゃんだけがいい。桜井家の真似もしない。好きだ。頼むから、死なないでくれ‥‥俺の人生にお前がいないと色もつかないし、生きた心地もしない。俺がさっちゃんだけを支えていくから。だから、‥‥‥おいで?」
その優しくて言葉言葉に聞こえてきて、あたしの胸に響いた。
あぁ、あたしは‥‥‥まなぶが良かったのに‥‥‥
なんであたしはまなぶじゃなかったんだろう。
あたしはまなぶのその胸に飛び込んだ。
「うぁわあああん!!!」
「いい子だ、さっちゃん」
「ひっく、あたし、まなぶが、いいのに‥‥‥なんで‥‥こんなに歳月経って‥‥‥」
「‥‥‥今からだよ。おかえり、さっちゃん」
「~~~~っ」
抱きしめられると、そのまま抱えられた。今じゃお姫様抱っこ状態。
ゆっくりと落ち着いて、あたしは眠った。
(ここは‥‥‥どこ?)
甘い匂いが部屋中にある。この香りは‥‥
「まな‥‥‥ぶ?」
あたしが知る、昔の香水の匂いだ。
「起きたか?」
「あ、うん、‥‥‥」
気まずそうにしていれば、ゆっくりとハグをしてくれて、それからキスをくれた。
噛みつくキス。これは大人のキスだ。
唾液が混じって一つになろうと、舌をねじ込んであたしたちは、初めて両想いとなって幸せをかみしめる。
「っふ‥‥」
まなぶの舌はどんどん下がっていく。
胸を過ぎて、鎖骨を過ぎて、胸をやんわりともまれながら乳首に歯を立てた。
「んっ」
「大丈夫?甘噛みだから」
ゾクゾクした。
あたしの隣で幸せそうな笑みを浮かべているまなぶに。
こんなまなぶは知らない。
けど、好きだって心が言う。
ぐちゃぐちゃな顔であたしたちは、空いていた歳月を取り戻すかのようにキスをしていた。
まなぶの指が乳首をかすめれば、いじらしく感じた。
まなぶとこんなことするなんて、信じられない。
あ、ううん、嫌な意味じゃなくて、幸せに感じられる。
好き。あたし‥‥‥あぁ、あたしこんなにもまなぶが好きだったんだ。
恋愛対象で、心から許せる人。
まなぶみたいに素敵な男性を、あたしは逃しそうにしていた。
今は手を伸ばせば届くんだ。
ぐにっと予想以上に乳首を指でつままれてはコリコリとされて、
ほんとうのあたしの甘い声が響く。