不倫・禁断の恋

愛がある人に気付かない②

まなぶが帰ってこない。

買いだしに行ったっきりだ。

どことなく恐怖を感じた時にタイミングよく電話が鳴った。

あたしの頭はもうまなぶのことしかなくて、とっさに誰かと確認もせずに電話を出た。

「まな―‥‥‥」

あたしはこれを激しく後悔した。。。。

そう、電話に出たのはまなぶではなく、旦那の亮ちゃんだった。

「りょ‥‥亮ちゃん‥‥‥」

亮ちゃんはたった一言、あたしに残した。

 

「まなぶママ。あたしやっぱり旦那のところに戻ります」

「え?どうしたの?だめよあの中にいっちゃったら‥‥まなぶだって‥‥」

言え。言うんだ。

はっきりと、まなぶママには言わないと。

「‥‥‥まなぶママ、今までありがとうございました」

あたしはぬぐい切れない涙を流して笑った。

これでいいんだ。

これでいいと、早くこの暗黒な人生を終わらせないといけない。

あたしが始めたものだし、それでいいんだと。

————-

あれから数週間の時が流れた。

あたしはというと、旦那とお義母さんと3人暮らしをしている。

そして待ちに待っていたはずの誕生日旅行を迎えるのだった。

「若い子同士で行ってきなさい。自宅はお母さんが守るからね?」

「ありがとう母さん」

「お義母さんありがとうございます」

「いいのよ。あなたたちいろいろあったんだから、ゆっくり話し合いしなさいね?」
………

………
あたしは会社を辞めて、旦那の勤める会社の食堂の管理をすることになった。

そこでも問題はあるけど、亮ちゃんの奥さんと言うだけで良い待遇になる。

それが嬉しいと感じるように、と。そう、言われ続けた。

飛行機に乗る手前。

あたしはチケットをもらう前にトイレに行きたいと言い、

今はただ一人。

「あ、やばいハンカチリュックにいれたままだ‥‥‥」

あたしはハンドウォッシュで手を乾かして、長い手袋を身に着ける。

真っ黒なあたしの腕。

見れば見るほど汚らしい。

この手袋の下には縄の痕がくっきり残っているんだ。

 

仕方ないよね。あたしは途中で逃げ出して迷惑かけて‥‥‥。

その代償だと思えば、なんてことない。

なんてことないのに‥‥‥。

なんで涙が‥‥‥止まらない。

「会いたい‥‥‥会いたいよ‥‥‥」

胸がぎゅうっと捕まれる感覚におちいっている。

 

あの日の、あの人の、あの人に抱かれる感覚。

同じシャンプーの匂い。

適当な性格なくせに妙に心配性で、誰よりもあたしをずっと見ていてくれた。

そんなあの人に会いたい。

だけどあたしは望んではいけないんだ。

戻れない。

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