「あーあ。ミクがこの世界にいるとはな」
「…………やはりご主人様でしたか」
「あぁ。久しいな、ミク」
それは昔あたしが売られたときに、メイドとして拾ってくれたご主人様だ。
ここで再会するなんて、ひどいや。
…………
…………
…………
昔、あたしは生まれたお家には似合わない赤毛で生まれた。
そのせいで母親は家族から見放されて、
旦那は……あたしの父親は逃げて行った。
生まれたばかりのあたしを一人で育てられないと察した母親は、
赤ちゃんだったあたしを抱えて海に身を投げた。
近場の漁師さんたちがあたしたちが着水した時から気づいていて、
そっこうですくわれる。
次に目を覚ましたあたしに待っていたのは母親。
ではなくて漁師の家族だった。
幼いあたしは「良い金になる」と言われて売られたのだった。
漁師が言うには、母親は漁師のある人の自宅でメイドになり、
小さなあたしを気にしながらも強制的に連れていかれてしまったと話していた。
そんななにもない、あたしという存在があった。
…………
…………
…………
その後にあたしは買ってくれたお屋敷で働くことになった。
もちろんそれは性奴隷というもの。
幼いと子供ができるリスクもないので重宝されていた。
けど、そんなお屋敷から救ってくれた一家がいらっしゃった。
それが17歳の時に迎えられた、
ご主人様のご両親だ。
「まぁいいか。お前なら俺の良いところも苦手なところもわかるだろ」
過去を走馬灯のように思い出していた。