「ありがとうございました!!」
あたしは大きな声でお客様に挨拶をして見送った。
初めまして、あたしは
今の挨拶は、今コンビニでバイトしているからなのでした!!
「元気いいねー時東ちゃん。おじさん感激だ」
「
「はは。このコンビニ業界って元気なのが売りだからねー」
「はい、あたしも元気なのが売りです!!」
「素晴らしい。‥‥‥あ、ごめん起きたっぽい」
「‥‥‥いってらっしゃいです」
この藤田店長は結婚して奥さんがいる。
普通に会社員で働いていた店長は、結婚後の奥さんの体調不良の影響で仕事を辞めざるを得なかったみたい。
より近場で面倒を見れるように
結果的には貯金全額はたいてコンビニ経営をすることにした。
そして
それ以上だとお給料が払えなくなるみたいで。
その募集を見てあたしは心を決めた。
だって‥‥‥。
藤田さんの顔が素晴らしくタイプすぎで沼っちゃったからぁ~~!!
「時東ちゃん?」
「甘いマスクなのに
「え、ちょ、時東ちゃん?」
「あ、ごめんなさい!ちょっとボーっとしてて‥‥‥」
「面白いなー」
そりゃ、店長の前だからですよーだ。
「奥さん大丈夫でした?」
「あぁ、今は薬飲んで寝てるよ」
「藤田さんみたいな旦那さん、いいなぁ」
「ん?」
「だって‥一生懸命そばにいてくれる人なんてそんなにいないですよ」
「‥‥‥俺は‥時東ちゃんの旦那さんになる人がうらやましいや」
冗談。冗談‥‥‥え。冗談ですか?
心臓から静脈へ流れる血液が
溢れる。やばいやばい。抑えろ抑えろあたし!!!
………
………
「あ、そう言えば‥‥これあげる」
がさがさとレジの下にある引き出しから、とあるチケットを2枚渡された‥‥‥?
「これは‥‥‥」
「最近公開された映画を観たいって言ってたよね?昨日お客さんからもらってさ」
心の底から嬉しかった。だって映画チケット!しかも2枚‥‥‥え?
もしかして“一緒に行こうか?”とか“ポップコーン食べる?”とか“せっかくだからごはん食べない?”とかとか!!??
「せっかくだし時東ちゃんの彼氏さんとかと行っておいで!その日は残業ってことで給料は増しとくからさ!」
これ本当のド天然だ。あたしは誰かと行きたいから映画行きたいと言ったわけじゃなくて‥‥‥。
ただただ藤田店長と一緒に‥‥‥行きたかった‥‥‥ぁ、そっか。
………
………