「お、ちょうどお昼(※夕食の場合も職業上、お昼と言います)時間だね。じゃぁ俺代わるから休憩入っていいよ!」
「あたしは‥‥‥」
「どうした?」
「あたしは!!誰かと行きたいからとかじゃなくて、ただ‥‥‥藤田店長と‥‥‥」
わがままだ。しかも
子どもみたいなこの脳内も、あたしのわがままを言いそうになる口も、
大っ嫌い―‥‥。
「うぅ‥‥‥」
「‥‥よし、わかった。今日は定時の21時であがって。夜は送っていくから、終わり手伝いに来るよ。だからまず、お昼入ってね」
「はい‥‥‥」
あたしは休憩室に行って考えていた。
さっきの藤田店長の話を。
あたし‥‥ほんと子ども。
店長も困ってたしお客さまも来たしで慌てた時に出た言葉なんだろう。
だから期待しちゃだめなんだ。
2人で映画とか‥‥夢見すぎて死んでしまいそうだわん!!!!
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
時刻は21時38分。あたしは‥‥‥なんと‥‥‥
あの藤田店長の車に乗って、ふふふふふ2人きり!!!!!!
あれは夢ではなかった。
………
………
「さてー。時東ちゃんは何を観たいのかな~」
「‥‥‥」
やばい、顔が幸せすぎでふにゃってなりそう!!
こここ、ここは冷静に‥‥‥。
「時東ちゃん?」
「はい、なんでしょうか」
あれ?仕事の時以上に強張ってるのバレる!!
「‥‥‥ぷ、あはははっ!!ちょっ、待って、わかりやすすぎ!!」
「え?!」
「そっか、ありがとう。結婚してる俺なんかに気を遣ってくれて」
「‥‥‥ん???」
「確かに俺は今までデートとかあんまりないままで結婚したから‥‥気晴らしに誘ってくれたんだね。ありがとう」
なんかちょっと勘違いが‥‥‥
でもま、いっか!
「いいえー!!だから、店長の好きな映画でいいです!!」
「そっか!じゃ、映画館行こうね~」
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥