「「なんか、ごめん」」
用具室を後にした私達は、なんとなくお互い気恥ずかしい心持ちで、ろくに目を合わせる事もできなかった。
帰り道になってやっと、お互いの口から出てきた言葉がこれだ。
同じ言葉が重なって、思わず二人して笑ってしまった。
「……ちょっと遅くなっちゃったね」
「……そうだな」
ぼんやりと、日が沈む様を見ながら歩く。
あともう少しで、帰路も分かれ道だ。
………
………
………
「あのさ、小山」
「うん?」
「ありがと……告白、受け入れてくれて」
自分で言っておいて、顔が熱くなった。それは、言われた彼も同じだったらしい。
「こっちこそ……って、なんだよ、このやりとり」
恥ずかしさを誤魔化すように小山は言う。
やがて、分かれ道に辿りついた。私はここを右へ、小山はもう少し先まで進んでいく。
「じゃあな、また明日」
「うん、また明日ね」
そう言って、手を振りあう。
離れるのが惜しい気持ちもあったが、ぐっと堪えた。
明日から――いや、今日、お互いが告白した時点で、私達の友達関係は終わった。
新たな関係性が、私達にどんな日常をもたらしてくれるだろうか。
少しだけ胸を高鳴らせながら、私は彼の背中を見送るのだった。