――2年前――
その頃はあたしは平社員で、聡次郎さんは社長だった。
小さな文房具会社に勤めていたあたしと聡次郎さんは偶然にも共通の好きなものは、
“ネコ”です。
ネコはあたしたちをつなぐ手助けをしてくれました。
「みゃー」
「…」
心の底からかわいいネコがいたと思いました。
表現を出すことが苦手なあたしですが、
昔から好きだったネコに心臓射抜かれてデレデレとしていました。
その表情はかなり、普段のあたしからは考えられないほどの豊かさ。
それを見ていた社長の聡次郎さんは、
あたしを選んでくれました。
それから名前を呼びあうくらい仲が良くなり、今では同棲してもう年を越しそうです。
恋愛に奥手なあたしは彼氏の家にあがることを苦手としていました。
けれども聡次郎さんは
「うちにはネコいるから、お世話してほしいんだよね」
と。
ウキウキであたしは聡次郎さんの家に行きました。
こうしてあたしは聡次郎さんのちゃちゃというネコと出会ったのです。
あ、これではちゃちゃとの出会いになってますね。
………
………
………
「なーに思いふけってるの?」
「きゃっ!」
「…………」
いきなり近づいてきたくせに声に驚いて
に取られてる…?
「何その反応」
「へ?」
「いじめたくなるじゃん」
「ちょっ…んっ!」
あたしは何事か聞こうとすると、キスで唇を支配された。
舌をからめて取られ、両手は聡次郎さんの左手ひとつに後ろでまとめられる。
「んむぁ…はっ…」
唇が離れるころにあたしの目はとろんとした。
本当に聡次郎さんはキスがうまいんだから…
「そそられた。よし」
「勝手に欲情しないでください!」
「欲情?してほしい?いやしてほしかったの?」
「誰もそんなことは…」
「本当に?」
そう言って聡次郎さんは胸元に顔をうずめて、
左ひざはあたしの両足を若干だけ開かせるように間に入ってきた。