「お待たせ、ハル」
シャワールームから出てきた彼の股間は、バスローブ越しでもわかるくらいはっきりと勃起していた。
私との交わりをそんなに楽しみにしていてくれたのか、と思うと私もドキドキしてしまう。
前の夫とは、ほとんどセックスをしなかった。
夫のモノは小さくて。
入っているのか入っていないのかもわからないくらいで、感じることがほとんどなかった。
ただ、アキのものは、とても大きい。
確かに、大きければいいというものではないと思う。
でも、ここ十年物足りないセックスしかしていなかった私は、それで私の中身をかきまわされるのかと思うと、期待に胸が高鳴るのを止められなかった。
「もう大きくなってる」
「あ、これは……」
私がからかうと、彼はとても恥ずかしそうに股間を手で隠した。
「隠さなくてもいいじゃん、早く見せて」
「うん」
彼はそういうと、バスローブの帯をほどいて地面に落とした。
「うわぁ……」
私は思わず息を漏らしてしまった。
私の記憶にあったより、彼のペニスは大きく、太く、たくましかった。
ぐん、と上を向いたそれに私は見とれてしまった。
「そ、そんなにじろじろ見ないでくれよ……」
彼はやっぱり照れていたけれど、それがとてもかわいかった。
「私も見せるから、許して」
私はそう言って、ベッドの上に座ったまま、自分のバスローブを脱いだ。
でも、脱いでから少し後悔した。
「十年前よりも太っちゃってるけど……」
「そんなことない。とても、綺麗だ」
緊張しながら彼の顔を見たけれど、彼の顔はとても嘘をついているようには見えない、とても澄んだ表情をしていた。
「本当?」
「僕は嘘つかないよ、知ってるでしょ?」
「そうだったっけ?」
「そうだよ」
彼はゆっくりと私に近づいてきて、ベッドの上に私を押し倒した。
「本当に綺麗だ」
「うれしい」
「誰のためにこんなに綺麗にしてたの?」
「いじわる」
私は無意識のうちに、彼にもう一度こうして出会えることを待っていたのかもしれない。
結婚したときに、私はあきらめていたはずだったのに。
その時のために、私は綺麗でいようとしたのかも、しれなかった。
「ねえ、アキ」
「ん?」
「十年前はさ、怖くてできなかったけど」
「うん」
「今なら、ゴムなしでしてもいいって思うんだ」
「本当に?」
「いや……」
「え?」
してもいい、といった直後にいやだ、と言われたら誰だって戸惑うだろう。
現に彼も何が何だかよくわからない、といった表情をしていた。
「違うな、してもいい、っていうんじゃない」
「どういうこと?」
「私、あなたがほしい。そのままの、あなたが」
私は十年越しに、彼に本音を伝えた。
そうだ、これが本当の言葉。彼にずっと伝えたかった言葉だ。
「じゃあ、挿れてもいいの?」
「うん、早くちょうだい」
私は、心の底からそう言った。