最後果てるときは、僕も動きたい。
そう思って体位を変えた。
彼女に覆いかぶさる形になった僕は、ゆっくり腰を動かした。
「中で出してもいいの?」
「うん、いい」
「じゃあ、思いっきりするね」
「かかってこい」
彼女は少し困ったように、でもとても幸せそうに微笑んだ。
僕は動きを少し早くした。
生でしていると、彼女の愛液が僕の精液と絡みついている感覚がかなりダイレクトに感じられる。
僕と彼女は、何の隔たりもなく本当につながっているのだ。
僕の愛と彼女の愛が、生々しく絡み合っているというわけだ。
それが気持ち良くないわけがない。
十年前のセックスなんか目じゃないくらい、今日のセックスはとても気持ちいい。
腰と腰がぶつかりあう音が高く響く。
僕はそれに耳を傾けながら、息の続く限り腰を振り続ける。
「はぁ、はぁ……」
快感に身をゆだねつつ、僕は彼女の中を奥深くまでついていく。
奥底まで生で感じることができるなんて、夢のようだった。
彼女も感じているのか、僕のミルクを搾り取るように内側を締め付けてくるのを感じた。
それで僕はとうとう限界を迎えた。
「ハル、イきそう」
「私も」
そう言って、僕たちは同時に果てた。
………
………
………
僕が彼女の中にミルクを放出すると同時に、彼女の腰は大きく跳ねた。
彼女の中からペニスを抜き取ると、そこからミルクが溢れ出してきた。
「すごい……、いっぱい出たね」
「うん、すごく気持ちよかった……」
果てた後はやはりいきなりどっと疲れが出てくる。
「初めて生でしたけど、気持ちいいんだね……」
「そうだね、私も知らなかった……」
「え、旦那さんとはしなかったの?」
「うん、彼ももともとセックスは好きじゃなかったし、しなかった」
男は誰かのはじめてになりたがる。
それに何の意味があるとかは関係ないのだ。
ただ、その人の初めてになることがうれしいものなのだ。
理屈はそこにはきっとない。
………
………
………
「なんかうれしいよ」
「そう?」
「うん」
僕はそういって、彼女の手を握った。
「僕さ、ハルのこと好きだよ」
「私も、アキのこと好きだよ」
十年ぶりに伝えられた思い。
………
………
………
僕の止まっていた時間が、ようやく動き出したような気がした。