あたしの出身の函館とか田舎には、妙に同窓会をやりたがる。
でも、でもでも‥‥‥
もし日下部くんが来るなら行きたいな。
だって‥‥‥秘密な話だけど、あたしの初恋は日下部くんだから。
なんて浮気心。
「行きたい!!」
<「よし、じゃぁ俺も行こうかな」>
「え?行かないつもりだったの?」
なんだか焦る。
てっきり日下部くんが行くから誘われたかと思ったのに。
なんでだろう‥‥‥
<「俺は麻生が行くなら行こうと思ってたから」>
そんなこと言われたら
ときめくじゃん!!!
今の彼氏と付き合いだして数年間、こんなドキドキしたことはない。
「ありがとう。じゃ、またね」
日下部くんの「うん」と言った声の表情は、
あの頃と変わらずで笑顔だった。
‥‥‥
‥‥‥
彼氏に見つかることなく、あたしは同窓会にこじつけた。
もちろんさすがに、同窓会に行くこともごまかせないから、
あたしはここはしっかり「高校の同窓会だからね」と宣言した。
まぁ、よこしまな気持ちがあってひやひやするけど。
さぁ、気を取り直していざ会場へ!!
「あ、
函館の小さな居酒屋で出迎えてくれたのは、
高校で一番の美人で日下部くんとずっと付き合っていた
「津川ちゃんだ!元気だった?」
「もちろん!あ、そうそう陽介も来てくれるって!!」
「あー、うん。そっか」
「楽しみだなぁ」
ここであたしは、思わず過去形になっていた二人の状況を知りたかった。
「あのさ、日下部くんとはいつ別れたの?」
「んん?別れてないよ」
「あ、そ、っか‥‥」