「わぁーー‥‥‥!!」
走行する車の後部座席から身を乗り出し、
雪降る街並みを興奮しながら眺めているのは、
このお話のヒロインの
「こら吹雪。危ないから窓を開けるな」
「だってお父さん、きれいなんだもん!!」
察しの通り、吹雪は南出身なので雪は本当に珍しく感じている。
南ではよく名前と気候が見合っていないと騒がれていた。
しかし父親が北海道出身なので、
吹雪の祖母にあたる女性が名付けてくれた。
その祖母は父親の出身の
電話で話したことしかないのだが、とても優しくて人想いなんのだ。
なので吹雪はそんな祖母が大好きでたまらない。
「着いたぞ吹雪」
「おばあちゃん呼んでくる!」
車から降りると真っ先に祖父母の住む一軒家に飛び込んでいった。
「おばあちゃん!おじいちゃん!」
吹雪がまるで幼い子どものようにお二人を呼ぶ。
ゆっくりと足音が聞こえた。
遠くからは「はいはい」と聞こえてくる。
ここで初対面。
思ったより小さなおばあちゃんに、
思ったよりがりがりなおじいちゃん。
吹雪は感動に満ちていた。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥