代々続いた一族でお金もある家系だし、いろいろ譲れないところがあるんだろう。
それも向こうの都合での譲れないだろうけどさ。
私も似たような家系だから、何となく分かる。
克哉さんは身をひくつもりだったけど、ヤっちゃんが離さなかった。
そんな時、私とヤっちゃんは出会った。
と言うか、ほとんどつき合いはないけど、私達は一応親戚。
私とヤっちゃんの実家は、血の繋がりがほとんどないくらいの親戚だけどね。
だけど、お互いの実家の名前くらいは知ってた。
「さよちゃん?どうした?黙りこんで」
アキちゃんが私の顔を覗きこむ。
私をさよちゃんと呼ぶのは、仲のいい男性ではアキちゃんだけ。
ヤっちゃんも克哉さんも私をさっちゃんと呼ぶ。
恋人から呼ばれてる名前を、他の男から呼ばれるのは嫌だろうって。
2人共、本当にいい人達なんだ。幸せになってほしい。
「アキちゃん、しよっ」
私はアキちゃんにしがみつく。
「いいよ」
アキちゃんが私を抱き上げた。
夫婦だけど偽装だしお互い恋人いるから、私とヤっちゃんの部屋は別。
私の部屋に着くと、アキちゃんは私をベッドに下ろした。
アキちゃんは私にのしかかるようにして、私にキスする。
「ん…」
アキちゃんの厚い舌が私の口の中に入ってくる。
私の口は小さいって、アキちゃんから言われる。
小さいかどうか自覚はないけど、彼の舌が私の中でいっぱいになるように感じた。
時々、口を塞がれたようになって、息苦しく感じることもある。
でも、そんなの気にならない。
だって好きだもん。