いつからあたしはこんなにアダルトな脳みそになったんだろう。
先日まで付き合っていた彼氏が、性欲の塊みたいに盛られていたから?
もう、あいつのせいで…………
でもあたしは後戻りはできない。
早く、誰か、あたしをイカせて。
奥の奥まで突きさして、胸をしゃぶって。
気持ちよくさせて、頂点まであたしを愛して。
そんな風にずっと頭は、えっちのことで縛られている。
…………
…………
…………
「
あたしはぼーっとしていた。
だから係長の声なんか聞こえない。
「佐倉さん。…………あ。矢吹くんいらっしゃい」
でも“矢吹くん”の言葉には弱いのだった。
すかさず反応すればそこには係長しかいない。
「騙しましたね?」
「だってこっちの声聞こえなかったみたいだし」
「もう!」
「でももう別れてるんでしょ?」
「まぁ…………」
「なら気にしないで。前を見なさい」
「はい………」
かなり気を遣ってくれてるんだな…………ありがとう、係長。
「そうとなれば次の男を作るよ!!」
「へ?」
「あなたiPhoneに変えなさい。話はそれから!」
「ええぇえ!!!???」
…………
…………
…………
あれから係長と一緒に街へショッピング。
服と靴と、いろいろ買ってもらった。
なぜかというと、この後に合コンを控えているらしい。
まぁあのずぼらな係長が?
と思っているうちに、きれいな肌とか爪先とか、気づいた。
係長って…………
「化粧しといて。わたしも着替えてくるから、ここの喫茶店にいて。迎えに行く」
「はい」
あたしはそのまま係長と別れた。
パフパフして化粧でばっちり。
しかし前彼の矢吹くんが好きだって言ってくれたアイシャドウだけは塗らずに。