お母様も気づいているのに何も言えない。
美琴の存在の威力を存じているからです。
美琴の実母は実は昔お母様が勤めていた家系の一人娘。
その親族になれれば、このお家も力と拍車がかかるのです。
「はぁ‥‥‥」
この先、わたくしは一体‥‥‥
「誰がわたくしを愛してくださるのでしょう‥‥それとも元からいらっしゃらないほうが、ありえますわね」
もう、どうでも良いとも思う人生なのです。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
「お母様!お母様!!」
‥‥‥どこからか走る音と声がします。これは、わたくしの隣にある廊下ですわね。
「どうしたのですか?美琴」
そっか。美琴とお母様ね。
何事かした‥‥‥走るだなんて‥‥‥。
………
………
「山下家の伯爵さまから縁談のためのパーティに参加しませんかとのお話がございましたの!」
「まぁ、素晴らしいわね!」
「嬉しい!これでこのお家に貢献できます!!」
「そうね!」
「そうだな‥‥お姉さまも誘ってお母さまと3人で行きませんか?」
「あら、いいわね」
「お姉さまには私からお話します!今夜なので準備をお願いします!」
「はいはい」
………
………
なんの前触れかしら。
あの子がああいうだなんて、何か裏があるわね。
にしても殿方からの文というものはいかがでしょうか。
いかにご自分がどれほどの地位の人なのかをい永遠と語っております。
わたくしにしては、そんなことどうでも良いのです‥‥‥。
「お姉さま」
「‥‥‥美琴ね。入って」
「聞こえておりましたか?」
「えぇ」
「これでお姉さまはこのお家には到底いられなくなりますわね。厄介者なので。」
「えぇ」
「‥‥何か?」
「何がですの?」
「ご準備を。最高の舞台を公開しますわ」
わたくしは笑うことしか出来ない。なぜわたくしはここまで嫌われて?
何もしていないのに。人生だって奪われてる。
もう、わたくしなんてどうでも良いのです―‥‥‥。