恋のはじまり

初恋が弾けた日

「……べとべとになっちゃったね」

「タオル持ってきておいたのは正解だったな」

すっかり日も暮れた帰路。

お互いに少しだけ照れくささを残した距離感で、歩いていく。

「誰かに見つかってたらどうしよう」

「気にすることないだろ、どうせ…」

そう言いかけて、彼は言葉に詰まった。

私がその先を促しても、答えない。

私はちょっとだけ唇を尖らせ、唸った。

「……いや、だから、どうせ……一緒になるんだし、って」

再会して初めて、彼が照れた。

その姿がなんだか可愛らしく見えて、思わず背後から抱きつく。

 

「待ってるからね」

「……おう」

彼の温もりを抱いた帰り道。

 

共に過ごせる日々も、そう遠くはないのだろう。

- FIN -

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