なんだか緊張する。
会社ではわりとまじめな方で、常に誰かのために何か動いている高砂。
頼りないわけではないがヘラヘラしていて誤解されやすい。
「あー今年の初詣にはもう鐘がないんすね」
「コロナの影響だし」
「…神様は俺らを見ていないんかな」
「ん?」
「こっち」
高砂の言われるがままについていく。
神社の裏手に回ると同時につないでいた手を引かれてキスをされた。
恋人なので普通なんだと考えていたが、生まれて初めてのキス。
嬉しい。
思っていたよりも心が満たされるんだな。
ありがとう高砂。
……ん?
なんか…背中さすってる??
あたしは離れようとするが腰をがっちりつかまれていて動けない。
抵抗していると、さらに腰をつかむ手に力が入っていることに気付いた。
ちょっと待って、なんで!?
つかここは外だし!!
いや場所じゃないけどさ!!!
ようやく解放された唇で反発すると、つかんでいた腰を自分側に思いっきり引いた。
そのおかげであたしはくっついている個所が固くてなんか変な形になっていることに気付く。
「……え?」
「もしかして、まだしょ…」
「その先を言うな」
「そっかー…俺以外の男は知らないんすね」
「なににやにやしてんのよ」
「嬉しくて。優しくして良い想い出にしましょうねー」
「ふざ…っぁ」
ふざけるな、と言いたかったが胸を揉まれて思わず固まった。
………
………
こんなあたしじゃ…高砂に失礼かな…
あたしがしょ…だからよけい気を遣っているのではないだろうか。
考えればどんどんマイナスになっている。
「何考えてるの?ゆき」
「ゆ…」
「ほら、俺の名前呼んで?知らないとは言わせないよ」
「コ…コウキ…」
「よくできました」
最高の笑顔を見た。
この時ハッキリとわかった。
あたしは本気で目の前の高砂コウキが好きになったんだって。
だから、処女でもなんでもあげたくなる。
身体がコウキを欲してる。