マニアック

ソープ嬢をやっていたら…

ミユキは店長に呼ばれて控室から階段の下に来て、お客様を待った。

待合室から店長がミユキの方へ手を伸ばして案内している。

間もなくお客様は出て来て、思わず二人は

「あっ!」

と驚いてしまった。

しかしミユキはプロらしくすぐに気を取り直し、

元気よく挨拶すると

自分の妖艶な姿を呆然と見下ろしていた男の手を取り階段を登って浴室へ入った。
………

………
二人っきりになった。

ミユキは男をベッドに座らせると現実的な驚きと恥ずかしさを笑顔で装いながら、

下から上へ、次々と慣れた手付きで丁寧に男を裸にしていく。

心なしか喋りすぎているとは思ったが、どうすることもできなかった。

もっと落ち着いて! これも仕事なんだから!

ミユキはバレないようにコッソリと深呼吸をした。

すると今まで黙っていた男がそんなミユキの胸を鋭く突くようなことを言った。

 

「ミユキだよな?」

すっとミユキの動きが止まった。

男のズボンを手に持ちながらうつ向いてしまった。

男の大きな目が自分のことを物珍しそうに見ているのがわかった。

なんて返事をしたらいいか、

どうしたら両者にとって最も気持ちよくこの時間を乗り越えられるかをミユキは考えながら、

高校時代の男の姿をボンヤリと頭に浮かべていた。

「ミユキだよな?」

男は再びそう聞いて、モジモジしているその様子から恐らくそうなんだと思った。

そう思うと男はベッドから下りて膝を付いて座っていたミユキの肩に手をかけた。

「大丈夫。俺、このこと誰にも言わないから」

そしてミユキの手からズボンを取るとそれを履こうとした。

「帰るの?」

ケンゴは頷いた。

「待って! もしわたしでいいのならさ、せっかくだし最後までいて」

ミユキは懇願こんがんするように言った。

ミユキは申し訳ないという気持ちがあった。

きっと休みなのだろう、

高いお金を払って遊びに来たのにこんなことで彼の期待感を打ち砕いてしまったのは、

とても気の毒に感じたのだ。

ケンゴは前屈みのまましばらく考えてから、立ち上がると、

何だか窮屈そうにズボンを脱いでしまった。

「いいかな? 俺で」

「そりゃあもちろん、ケンゴはお客様なんだから」

「うん、ありがとう」

ミユキは今度は妙に快活な気持ちでケンゴの服を一枚一枚剥ぎ取っていった。

「ああ、ごめん」

「いや、全然」

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