会う度に募る彼への淫らな想い
1週間毎日のように通い続けていると、若い男性店員も私たちのことを覚えてくれて、
「いつもの餃子とチャーハンでいいですか?」
と先に聞いてくれるようにもなりました。
私は研修期間の途中、少し会社に用事があったので一旦戻り、そのついでに地元のお土産を買って研修施設に戻ってきました。
お土産を中華料理屋さんの店主老夫婦と男性店員の亀山くんに持っていくと、亀山くんはお店に内緒で、餃子を一人前お礼にこっそりサービスで出してくれました。
実は、お土産で渡した紙袋の中にはこっそり私の名前(加山)と連絡先の電話番号にメルアドを書いた名刺を入れておいたのです。
すると、翌日その男性店員の亀山くんから電話がかかってきました。
「加山さんですか、僕です。いつも来ていただいている中華料理屋でアルバイトをしている亀山です。あの、今お話しても大丈夫ですか?」
淡い期待を持ちつつも、まさか本当に亀山くんから電話がかかってくるとは思ってもいなかったので、少しドキッとしたけど、ものすごく嬉しい気持ちになりました。
「あっ・・・、あの・・・全然大丈夫ですよ!」
突然の彼からの電話とあまりの嬉しさに、声が少し上ずってしまいました。
「店は月曜日が休業日なので、よければ月曜日に食事にでもいきませんか?」
「えっ、本当に私のようなおばさんでもいいの?」
「何言っているんですか、加山さんは全然おばさんには見えませんよ」
「だって私の年齢37歳だよ・・・、もうアラフォーなんだから・・・」
「うそっ!全然37歳になんか見えませんよ。僕24歳なんですけど、加山さん見た目もすごく若いし、僕と同じぐらいの年齢かと思いましたよ」
「亀山くんのような年下の男性と食事なんて初めてだから緊張するな・・・」
「いやいや、僕の方こそ緊張しちゃいますよ」
「亀山くん何か食べたいものある?」
「僕の働いている中華料理屋から少し行ったところに焼肉屋があるからどうですか?」
「うん、それでいいよ」
「じゃあ、加山さんがいつも降りるバス停で夕方6時に待っています」
そう言って約束を取りつけて電話を切りました。
そして、週明けの月曜日になり待ち合わせ場所のバス停に着くと、亀山くんがすでに待っていました。
「ごめんなさい、待った?」
「いや、僕も少し前についたところだよ」
そう言った彼は、いつもの仕事着の白いユニフォームとは違い、Tシャツにジーンズというラフな姿でした。
胸板が結構あり、腕も上腕二頭筋が盛り上がっており、お店で働いている時とは違って、すごくたくましい彼に見とれちゃいました。
彼と手をつなぎ歩き出すと、他愛のない会話から始まり、彼の将来の夢の話になった。
どうやら彼は俳優を目指しているそうだ。
どうりで男前なわけだ・・・。
彼について行くと商店街の中を通り過ぎ、少し歩いたところのラブホテル街を通り抜けたところに焼肉屋さんはあった。
店に入り注文をしたところまでは覚えているが、緊張していたせいか、その後何を食べたかあまり覚えていない。
ここの店に来る前にラブホテル街を通ってきたこともあったかもしれない。
ひょっとしてこの後にラブホテルに行くつもりかもしれないと考えていたら、一切何を食べても味がしなかったのです。
そのままあっという間に時間が過ぎ、
「そろそろ行きましょうか」
と彼に言われるがまま店を出ました。
一歩また一歩と先程歩いてきた道を進むたびに、私の胸の鼓動はドクドクと激しく鳴り出したのです。
そして、ラブホテル街に差しかかった時、彼は突然私の手を握りしめると、黙ってラブホテルの入り口に向かって歩き出しました。
私も心のどこかで少し期待していたし、ラブホテル街を通り抜けた時点で、亀山くんも最初からそのつもりだったのかもしれない。
私は拒絶することなく、黙って彼の手に引かれるままラブホテルに入りました。