(嘘、私、もうイっちゃったの……? こんなの経験したこともない……)
生理的にあがった息をなんとか潜ませて……脳天を貫いた快楽におびえてしまう。
「すげ……ナカからえっちな液がいっぱいこぼれてるよ。気持ち良かったんだね」
「え、あぁっ! だめだめだめぇ! 今イったばっかりで……!」
城田さんはふぅっと息を吹きかける。
敏感になりすぎたクリトリスは、たったそれだけの刺激に感じてしまう。
じわりと広がるむず痒さに逃げようとした私をいともたやすく抑え込む。
そして、まるまると充血しきったむき出しのクリの先端を、舌先でちろちろと優しくくすぐった。
「ひぃぃいいっ! ああっ! そこ、そこはぁ! もうやめて……」
――ちゅっちゅ……ちゅる……ちろちろ……
つんつんとくすぐるようなもどかしい刺激に、全てを快楽として拾ってしまう肉芽が耐えられるわけがなくて、イったばかりの私は声を抑えることができない。
「真理ちゃんのクリちゃん、すっかり嫌らしくなったね。最初から感度もわりとよかったけれど、ここでばっかりえっちしてるの?」
ちゅぱちゅぱと音を立てられると今更ながら羞恥心に耳を塞ぎたくなる。
「も、城田さ……! いじめないでよぉ……!」
「いじめてないよ。ほら。正直に教えて?」
「う……じ、自分でしてる……」
夫とのセックスは業務というかほぼ作業で……彼の機嫌を損ねないように早くイかせることしか考えてない。
もちろん、私の肉体がそれに満足したことなどないので、自分を慰める術ばかり成長してしまった。
「ふぅん。じゃあ、こういうのもされたことないでしょ」
クリばかりいじめていた舌から解放されて、一息ついた刹那。
城田さんは私の蜜壺に蓋をするように口で覆う。そして
――ぢゅぅうううっ! ぢゅっずっず!
「ああああっ! な、はぅ! これ、やぁああっ!」
ナカを思いっきり吸いあげ、苛めぬいて充血したクリをきゅむっとつまんだ。
くにゅくにゅと優しく擦り合わされただけなのに、どこもかしこも敏感にされつくした私には激しすぎる快楽として襲い掛かる。
「だめぇえええっ! イクっ!」
先ほどの痙攣とは異なり、今度は身体が弓なりになる。
あっと言う間にイかされてしまい、状況がつかめない。
「あ……ひぁ……」
くったりと体を横たえ、反射的にびくびくと痙攣する私を上体を起こした城田さんは嬉しそうに見下ろす。
「派手にイったねぇ。真理ちゃん、こんなの初めてなんじゃない? もうちょっと責めれば潮吹きも覚えちゃいそうだね」
ふふっとほほ笑むその顔は、優しいような、いたずらっぽい表情と一変して……間違いなくサディスティックなそれだ。
「真理ちゃん、こっちは好き? ナカでもイける人?」
城田さんは私の蜜壺に指を這わすと……そのままぬかるみに指を埋めていく。
「あぁ……おっき……」
太い指は、びくびくと痙攣したままの私のナカをごりごりと擦りあげながら進んでいく。
ゆっくりとした動きでも、二度も続けて絶頂させられた身体には刺激が強い。
「ひう……はぁ……あん……」
「はは……すげ、俺の指美味しそうに食ってる……」
――ずぷっずぷっ……ぬぷぷ……
二本の指で、ゆっくりと抜き差しが始まった。
ナカの一点をくいくいと押し上げるような刺激に、触られていないのにクリがむずむずした。
「はぅ……きもち……!」
これまでとは違い、じわじわと責めるような快楽。
つい体をくねらせると、城田さんは「こら」と私をいさめた。
「気持ちいいなら逃げちゃだめ」
「で、でもぉ……あんっ!」
「あは……ナカでイかされたこと、ないでしょ? どうしたらいいのかわからないって感じ、まるわかり」
図星だ。
太くて長い指が、ナカでばらばらに動くたび、その未知すぎる刺激に怖くなる。
内壁のお腹側をぐぐーと押し上げられたとき、もどかしいような感覚がはっきりと快楽に変った。
「んぁっ! ひぅううううう!」
――ぷしっ! ぷしゃぁあああっ!
上り詰めていた疼きが一気にはじけ、尿意のようなものが我慢できなくなった。
体液にしては少しぬるい潮が勢いよく噴き出す。
「ああああっ! あう……っ」
「やっぱ潮吹けたねぇ。可愛い尿道がぴくぴくしてるよ。真理ちゃんの身体、どこもえっちになって触って欲しそうにしてる。乳首もクリも、もちろんここも」
城田さんはそそり立ったペニスを蜜壺にあてがうと、圧倒的な質量のそれで貫いた。
「ひっ! いやぁああっ! まだ、イったばっかりなのぉっ!」
「あはは! 知ってる……っ! く……やっぱ膣痙攣すげぇ……っ! ナカめっちゃ締め付けてくる……っ!」
ずっずっと、無遠慮に挿入された肉棒は、私が今まで受け入れてきたどのサイズよりも大きく、そして熱く感じた。
「あああっ! ひあああっ! すご、おなか、いっぱいになっちゃう……っ!」
「いいじゃん……は、俺でいっぱいになってよ」
「んんっ! お、おく、奥、ずんずんしないでぇ……」
子宮口をこねくりまわすようにぐりぐりと腰をグラインドされると、凝り固まったアソコの筋肉がほぐされているみたいで気持ち良くてたまらない。
きゅんきゅんと締め付けてしまうたび、城田さんのペニスが
「はぁ……くっ! ……締めつけ、すげぇ……奥が好きなんてやーらし……」
「んぅ、う、あ、あん、あん! だって、すごい……いいんだもん……!」
表情を歪めた城田さんと目が合う。
快楽にどろどろに蕩けた顔は、獣のそれに似ていて、たまらなく互いを興奮させあい、歯止めが利かなくなる。
「あああぁぁぁっ!」
城田さんは所詮、行きずりの、素性も知らない人。
けれど私は、彼とセックスをしなければ、自分の身体がこんなにも快楽に弱いなんて知らなかった。
セックスが、こんなにも気持ちいいものだなんて、知らないままだった。
身体から抜き差しされる男根に、「まだいなくならないで」と切なくなる。
もっと、もっとしたい。
互いの輪郭が、どろどろに溶け合ってしまうくらい。
「ひぁっ、イクイクイク! イっちゃうぅっ!」
「あぁっ! くっ……俺も……!」
最奥にはじけた、城田さんの熱……。
吐き出されるたびに互いをむさぼりあうように痙攣し、
「すごい……気持ち良かった……こんなのはじめて……」
頭がぼうっとしているせいか、本音がこぼれる。
「俺もよかったよ……ね、こんなに気持ちいいこと知っちゃったらさ、帰れる?」
「……その質問、ずるいよ……」
あの家にも。
気持ちいいセックスを知る前にも。
帰れるはずのない私は、城田さんの首に腕を回す。
この後のことなんて知らない。
考えることはやめた。
息抜きのつもりだった。私は自ら、目の前の快楽に溺れていく。