目を覚ますと、まったく知らない場所にいた。
ここはどこか、
どういう状況なのか、
それを探ろうと首を動かす。
しかしなぜか動かない。
固定されてる?
しかたなく視線だけを動かしてみた。
………
………
「お、起きたねーまゆらちゃん」
あたしの名前を呼ぶのは知らない人だ。
声を出そうにも、どうやらガムテープのようなものが貼りついていて、
声も出せない状況なんだけど………。
「おびえてるの?可愛いね」
誰このイケメンは…………
「覚えてない表情だね。教えてあげようか?」
あたしは大きく縦に首を振った。
「さっきまでカラオケに二人きりでしたー。そしてキスしましたー」
そこまでは思い出してきた。
「まゆらちゃんがトイレ行きましたー。そこで俺が飲み物に睡眠薬と媚薬入れましたー」
「!?」
「戻ってきたまゆらちゃんはそれを飲みましたー。……続きはわかるよね?」
………
………
そうだ。
そうだった。
なんかトイレから戻ったら妙に歌わされて、喉乾いたからリンゴジュースを一気飲みして……
あー、思い出した。
それから記憶がなくなってきて、
さらにあたし……欲求不満になって…………
「そこで問題です。なぜ俺は欲求不満のまゆらちゃんを縛っているんでしょうか!」
本当に謎すぎる。
だってまだ………なにもしてないし。
「はい。時間切れ―。正解は……」
そう言いながらあたしの顔面ギリギリまで近寄ってきた。
あたしはキスされるかと思ったら、にっこりと笑う。
「この媚薬効果を試したかったからですーー!!」
そう話すとあたしの口に貼っていたテープを取ってくれた。
少し乱暴だったけど、欲情しているあたしには特に痛みと感じない。