美香はスマホのアラーム音で目を覚ました。
外から
彼女は重い瞼を開けると上半身を起こして両腕を上に伸ばし、身体をぐっと伸ばした。
力を抜いて、流れる血液の熱を皮膚全体に感じた。
血は清らかに溌溂と身体の隅々を流れて、彼女は快活になった。
起き上がって布団を畳んで押入れにしまうと、カーテンを開き太陽の
時計の針は6時18分を指していた。
美香が階段を降りて行くと母の佳代子が台所で料理している音が聞こえた。
リビングには父の健一が仕事着を着て足を組みながらソファの上で新聞を読んでいた。
「おはよう」
美香がこう言うと健一は両手に握っていた新聞を下にして顔を覗かせると
「おう、おはよう」
と不思議そうな目をして自分の娘を見ていた。
美香は洗面所へ向かった。
その途中で美香は台所を通ったので佳代子に挨拶した。
そして洗面所に来るとお湯を出してそれで顔を洗った。
濡れた顔を拭いてまたリビングへ戻って来ると既にテーブルに健一と佳代子と美香の朝ご飯が綺麗に並べられていて、健一はテレビのニュースをチラチラと見ながら納豆を混ぜていた。
ソファに読み捨てられた新聞が置いてあり、美香はそれを避けて座ってニュースを見た。
「美香、今日から夏休みだよな、こんな早く起きて何か用事でもあるのか?」
と健一は美香に聞くと豆腐の入った熱い味噌汁を啜った。
「特に無いけど、遅くまで寝てる意味も無いし」
と美香は笑顔で言った。
佳代子は台所で何か洗いながら
「涼太と聡太とは大違いねぇ、きちんとしてて偉いわ」
と言って美香を褒めた。
それに健一も賛成するように頷いた。
間もなく美香は両親に混じって朝ご飯を食べた。
食べ終わって歯を磨いてからトイレに行って、そして自分の部屋に戻った。
7時を10分程過ぎていた。
美香は何もする事がなくて、部屋の中をウロウロした後、机の上に置かれた小さな本棚から何か気楽な本を一つ選んで取り出すと、床に腹這いになりながらそれを読んだ。
2時間程でそれは読み終えてしまった。
そしてリビングのソファに置いてあった新聞を思い出してそれを取りに再び下に降りた。
既に健一は家を出ていた。
そして佳代子は2人のまだ寝ている兄弟の為に目玉焼きとウインナーの乗った皿にサランラップをして、茶碗を逆さにして置いていた。
美香は新聞を持って部屋に戻るとまた腹這いになってそれを読んだ。
所々読めない市町村区の名前があって、振仮名をつけてくれればいいのにと思いながらその都度スマホで読み方を調べた。
間もなくそれも読み終わってしまうと、もう1冊小説を読もうと思って起き上がった時、あの独特な音を奏でてLINEが送られてきた。
みのりからだった。