男性陣は、仕事をサボって何かふざけ合っていて、その度に麗奈が何時もの怒声を浴びせていた。
間もなく皆でコタツに入って、何かバラエティ番組を見ながら、鍋が始まる。
私達は、カップル同士が向い合う形で、隣に異性が来る形で座った(これは特に意図がある訳ではなく、何となくこの様な配置になった)。
私はテレビから一番遠いコタツの端に座っていて、隣には結愛の彼氏である龍之介が居た。
龍之介はこの中で一番静かであり、そして、一番カッコ良かった。
しかし、その落ち着いた性格の為か、私の頭には大して強い印象がなかったので、いざ間近で彼の端正な横顔を見て、その眉目秀麗さに思わずドキドキしてしまった。
ーやばい!何で私こんなにドキドキしてるの?!ダメダメダメ!こんな事、しかも清隆の目の前で…
薄く整った眉毛、鋭く切れ長のクールな目、真っ直ぐ綺麗に通った鼻筋に、エロチックに膨らんだ薄い唇で構成された龍之介の顔は、
私の脈動する心臓にピンク色の息を吹きかける。
「穂香ちゃん、注いであげるよ」
「んふむっ…」
龍之介は私の目の前にある空のお皿を取り、その中に具を入れてくれた。
私は彼に突然話し掛けられて思わず変な声を出してしまい、顔を赤くして俯いてしまった。
「ほら、これ。穂香ちゃん」
幼児の様にモジモジしている私の目の前に、沢山の具材の盛られたお皿を置いた。
ーなんて優しい声何だろう…イケメンというのは、声だけで女性をこんなに興奮させてしまうのかしら…あっ!
私は清隆を見た。
しかし彼は全く私の不貞な動揺に気付く様子がなく、結愛や誠等と何か楽しそうに言い合いをしていた。
私はそれに安堵しつつ、自分の変化に気付かない彼に少々がっかりする気持ちがした。