お願いします。
この世に神様が存在するなら祈ります。
毎日祈っても、毎日自分の気持ちを殺してもいい。
だから。
お願いです。
あたしの愛する人を死なせないでください―……
…………
…………
あたしがその人と出逢ったのは、ある祭りの日だった。
まだ幼いあたしは親戚の人と
ものすごく背が高くて怖い顔してる人が家の近くにいて、
すかさず両親に通報した。
けど両親が見たら「あの人はあなたの叔父さんよ」と笑っていたことを覚えている。
怖かったから近寄りたくないと思ってたけど、
その印象は一変した。
「ねぇおじょーちゃん一人?」
「…………だれ」
「え?俺変な人じゃないよ?」
「そんなこと聞いてない」
「……口わりぃガキだな」
「こわ」
「俺と遊ばない?」
「その度胸は認めてやるよ」
「は!?何様だよお前!!」
「うちのお嬢が何かしたかな?」
あたしに手をあげようとした瞬間に、さっきの怖いおじさんが来た。
「お嬢!?」
「まぁここは穏便に行こうじゃないですか。ほら、お嬢帰りますよ」
手をつながれた。
誰の手と違って、ごつごつしていた。
まめ?もある。
この人もしかして………
苦労してた人なのかな。
前にお母さまが言ってたけど、人間は手に出るって。
「おいこら何かってに終わらそうとしてんだよ」