「お邪魔しました」
あの後私たちは二人で、悠斗に付き合うことになったと報告した。
なかなか帰ってこないからそうだと思ったよ、と悠斗はそう言いながら、温かく祝福してくれた。
これからは悠斗と一緒じゃなくても、健くんは私の家に来るらしい。
部活が終わってからでもいいから、とは言ってある。
もともと、彼の学校の部活はそこまで厳しい方じゃないから、時間も割と早いらしいし、それでも大丈夫そうだったからだ。
きっと、私が彼の家に行くこともあるだろう。緊張するけど、楽しみだな。
「じゃ、また来てね!」
「はい」
そう言って、健くんは帰っていった。
「ところでさ、姉ちゃん」
「なに?」
「なんでそんな汗かいてんの?」
ドアが閉まるとすぐに、悠斗はそんなことを聞いてきた。
「え、いやぁ、それは」
「隠しても無駄だからな」
「え?」
「いや、だって全部聞こえてたし。途中からヘッドホンしたけど」
「え、ちょ、ちょっと待って」
「自分の姉の喘ぎ声は正直、きつかった」
悠斗の呆れるような、あきらめるような表情。
「うそだろぉぉぉぉ!」
ごめんよ、弟。
確かに家族の喘ぎ声はきついよな。
今度から、部屋でするときは気を付ける、と私は強く心に誓った。
- 了 -