奥がこすれて、奥に当たって、気持ちいい。
リズミカルな突きがあってドンドン上り詰めていく。
「すっご、い…膣がキュウキュウしてるね…またイクの??」
「はぃ…、い、いっちゃ…」
「いいよ。俺もイキそうだから早めるな」
「あ、ぁ、ぃあ!あぁ、ん!!」
スピードアップした運動にあたしの脳はついていけずに、ただひたすら迫りくる快感に浸るしかない。
奥がぐちゃぐちゃと水音を響かせている。
うわー、ブース静かだから余計響くよぉ……
今まで男性と数回セックスしてきたが、こんなにも気持ちいいセックスは初めて。
だって濡れたって言ってもローションがないとあんまり入らなかった回数が多かった。
でも今回の守屋さんとのセックスは違う。
心の奥底から守屋さんを求めている。
大好きで大好きで、抱き合っていても足りないくらい。
頭が守屋さんでいっぱいで他なんて真っ白で考えられないな…。
「っ……」
あ、だめだ。
あたし一人でまたイってしまう。
こらえないと…。
「っは、ぁ、工藤さん、いきなり膣圧かけたね」
「へ?」
「やば。あーもうイク…」
眉間にしわよせる守屋さんは余裕がないように見えた。
もちろんあたしもだけど。
守屋さんは二人ともイキそうになっていることに気付いて、さらに胸を舐めまわす。
もう…ぎゅっとなってあたしも守屋さんもほぼ同時に達した。
それからあたしたちは着替えて椅子に座って抱きしめあっている。
警備員さんが来るまで残り30分。
ラブラブだー…。
幸せー!!
「あ、桐生からLINE来た」
「なんてですか?」
「ん-と、こんばんは。今の密室空間どうでした…か……」
「??」
「……あいつ仕組みやがったな」
「何を?」
「つまり今の二人きりの状況は桐生が作ったみたいだ」
「えぇ!!??」
「工藤さんには、“王子様に逃げられない様にね”だって。王子様って誰」
「えっと…」
気まずいよ。
桐生さんのばかーー!!
「言えない相手?」
「…もー桐生さんってば!!守屋さんもしつこい!!…あたしの王子様はいつだって守屋さんなんです!!あの寒い雪の日からずっとです!!!」
顔面赤いだろうな。
ってか引かれない?
だいぶ前の話だし。
というか覚えてないってこともありえる。
返事を聞くのも怖いよぉ。
泣ける。
「…あのコーヒー、おいしかったろ」
「!」
「実は俺が毎週買ってるドリップコーヒーなんだ」
「そう、なんですか!!??」
「俺が王子様なら工藤さんは…あの雪の日にブルブル震えて手を温めていた工藤さんはお姫様だな」
「え…」
「俺もあの日からずっと好きになってた。ずっと近くになりたくて…通勤時間だって変えたし、ちょいちょい用事なくても工藤さんがいる部屋に顔を出したりしてた」
嬉しい。
本当にうれしいよ!
「相思相愛ですね、守屋さん!!」
「言葉にすると恥ずかしいけどね」
「改めて。…大好きですよ」
「俺も」
そう言っておでこにキスをくれた守屋さん。
その数分後に警備員さんは来てくれて、鍵を開けてくれた。
この日のことと、あの雪の日のことは一生忘れない。