不倫・禁断の恋

挿れるなら、濡れてからにして…

杏奈は近所のネットカフェで目を覚ました。

重たいまぶたを擦り、再び目をつむった。

体はとてもだるかった。

背を伸ばして、昨夜の事を思い出すと、急に股間が痛みだした。

(どうしようかな、これから…)

杏奈はスマホで今週のシフトを確認した。

(しまった!店の制服家に置いてきちゃった!そうだ、一昨日洗濯して、タンスにしまったままだった)

それでも、取り敢えず今日は休みである事にホッとして、また目を瞑った。

(今頃、圭太はどうしてるだろ?きっともう起きてるだろうな。探してるのかな?それともあの人の事だからいつも通りトイレで踏ん張ってるかな?)

杏奈は何故か、笑ってしまった。

何だか大声で、腹を叩いて笑いたくなった。

そして俄に寂しくなった。

虚空の穴に吸い込まれていくような、妙な寂しさを感じた。

ぼーっと目の前のパソコンを見つめていると、不図、グゥーっとお腹が鳴った。

杏奈は何か食べ物を頼もうかと思ったが、外の空気を吸いたかったので、会計を済ませて、店を出た。

(はぁ、私はもう、優しい、美しい、温かい、愛情を男から受ける事はできないんだろうな)

杏奈は少し歩いた所にあるマクドナルドに寄って、ソーセージマフィンのセットを頼んだ。

番号を呼ばれて、トレイを受け取り、一番奥の方にある席に腰掛けた。

杏奈は早速ハンバーガーに手をつけた。

(久し振りだなぁ、朝マックは)

これからどうするかを考えながら、気付くとハンバーガーもポテトも食べてしまって、胃の喜ぶのを感じながらコーヒーを飲んだ。

レイプされたのに、いや、レイプという表現はちょっと違うのかもしれないが、不思議と心が軽くなっていた。

しかし不安がなくなったわけではない。

杏奈は俯向うつむいて、じっと何か考えていると、不意に自分の前の席に誰かが座った。

驚いて顔を上げると、それは大学の後輩である佐海幸太郎さかいこうたろうだった。

幸太郎は爽やかな笑顔で杏奈に挨拶した。

「なんでここに居るの?」

「先輩こそなんでここに居るんですか」

「そりゃあ、ご飯を食べるためよ」

「僕もそうですよ」

そう言って彼はコーヒーを飲んでから、ポテトを手に取り、かじり付いた。

「あっ、あつつっ!」

「へぇー、そうなんすか」

2人は近くの小さな公園まで来て、ベンチに座った。

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