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水泳スクールにはすぐに入会した。
そのスクールで見つけたのは、クールで背の高いイケメン。
丸山蒼(まるやまあおい)先生。
あたしは彼のような人と出会うためにダイエットを、と燃えていた。
ダイエットくらいなら、とウォーキングのダイエットを始めることにした。
「青葉さん、十分痩せてるし可愛いからダイエットいらなくない?」
優しい丸山さんはそういう。
けどあたしの中ではだめなのだ。
「いいんです。もっとくびれを出したいから、です」
「そっか。なら応援するね。どんな手を使ってでもここでダイエットしていこう」
「はい!」
そう、これが最初のきっかけだった。
正直“どんな手を使ってでも”というワードにクエスチョンマークを出したが、
それよりも丸山さんがそんな風に応援してくれることがありがたくて、
思わず感動してしまった。
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通い始めて早1週間。
だいぶ痩せた。
くびれも戻ったし、そろそろ潮時かなと思った。
けど……あたしは丸山さんと離れたくない。
へ?
あたし好きになったの??
いやいやいや。
「青葉さん?」
「へあ!!??」
帰ろうとプールから出た瞬間に話しかけられた。
「あ、丸山さん」
「新しいダイエット方式考えたんだ。やってみない?」
優しい……
「やりたいです!」
「じゃぁプールから出てベンチで待ってて。みんな帰っちゃっても残っててな」
「はーい」
なんの疑いもせずにあたしは丸山さんをプールで待つことにした。
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ベンチに座っていると少しだけ寒かった。
なので一度ロッカーに戻り、Tシャツだけ羽織ってまたプールにあるベンチに座りなおす。
「青葉さん」
「あ、はい!」
がちゃん。
それはプール室の鍵を閉める音。
「え…………?」
「さて、始めようか」
「え、あ、はい?」
「まずはプールに入ろう」
丸山さんは一緒に、といった。
丸山さんも水着で、一緒に水の中に降りた。
そして身体を水につかると、同時にものすごい近い距離で見つめられた。