私には2つの顔がある、それは・・・
あぁ・・・、なぜ、私はこのような人生になってしまったのだろう。
一体どこで道を謝ってしまったのか。
実は、私は今、2つの顔を持っている。
1つは派遣社員としての顔、そして、もう1つはヘルス嬢としての顔だ。
とはいえ、普段は女らしい身なりをしているわけではない。
髪は短くショートヘア、ひらひらしたスカートも穿かず、外見はかなり地味である。
どこかへ出掛ける際は、大体デニムのパンツスタイルばかり。
そんなあまり色気のない私がヘルス嬢を始めたのは、ここ数ヶ月ほどのことで、
派遣社員としての給料がとても安いからというのが、ヘルスで働き始めた理由である。
今のお仕事だと、買いたい物を買いたいと思った時に買えなかったのです。
特に、読書好きだった私にとって、せめて、大好きな本が気兼ねなく買える金銭が
欲しかった。
今の私のファッションが何の色気もない地味なスタイルになってしまったのは、
服を自由に帰るお金がなかったことも、きっと関係しているのだと思う。
昔はもう少し着る物にも気を使い、女らしい色気もあったものだ。
なぜなら、こんな私にだって、一度は心の底から愛した1人の男性と結婚した経験を
したことがあるからです。
元旦那は大手家電メーカーに勤めていたので、収入は一般の平均よりはあり、
当然、服を買ったり、ランチや趣味などに自由に使えるお金もあった。
そのまま何不自由なく幸せな人生を送るはずだった・・・が、悲劇は突然やって来る。
それは、26歳で結婚してから2年後の冬頃のこと。
毎年のように年末年始は私の実家に帰省するのが習慣になっていた。
ところが、その年の冬は、商品企画部に勤めていた旦那が、新製品のアイデアを考える
ために、年末年始は自宅にこもって仕事をしたいと言ってきたのだ。
今までそんなこと一度も言ったことがなかったし、毎年年末年始は休むはずなのに、
家で仕事をするなんて、何だかちょっと変だなと思った。
何だかおかしなこと言うなと思いながらも、仕事なら仕方がないと納得して、その年は
私一人で帰省することにしたのです。
いつもなら年を越して3日まではいるのですが、今回は突然母親の姉が病で倒れたため、
1日早く切り上げて、2日の夜に到着できるように自宅に戻りました。
自宅のマンションに到着し、ドアを開けようとしてドアノブを握り、
「ただいまー」
と言ってドアを開けて中に入りました。
ただいまの声が聞こえなかったのか、旦那のおかえりの返事がない。
きっとテレビでも見ているのだろう、そう思いながらリビングに向かう私。
もう一度ただいまと言いながら、リビングへと続く扉を開いた瞬間、目に飛び込んできた
光景に私は目を疑った。
リビングのソファで旦那と見知らぬ女が抱き合ってキスをしていたからだ。
旦那は1人留守番して休み返上で自宅で仕事をすると言っておきながら、自宅に女を
連れ込んで不倫をしていたのである。
その件が原因となり、私と旦那はわずか2年半で離婚することになったのです。
旦那は慰謝料を払うと言ってきましたが、頑固でプライドの高い私は、彼から慰謝料を
もらうのを拒否。
不倫された上に、今でも悠々とその不倫相手の女と交際を続けている旦那からの
援助なんてまっぴら御免。
というまるでテレビの時代劇に出てくる仕事のない浪人の身となった武士のような心境だった。
今思えば、何てもったいないことしてしまったのだろうと、今更ながら、自分の性格を
恨み、ちょっぴり後悔している自分がいた。
そして、この離婚のせいで、私は生活するために外で働き始めなければならなくなった
というわけなのです。
最初は派遣社員として食品工場で働いていましたが、給料が安すぎていつもギリギリの
生活を送っていた。
買いたい物も買えず、いつも節約のことばかり考えて我慢を続けていましたが、
このようなことが一生続くのかと思うとゾッとして頭がおかしくなりそうだ。
我慢の限界を迎えた私は、とうとう風俗のヘルスで働くことを決意する。