「おはようございますー」
あたしは先日社会人デビューしました、
学生時代は勉強の一本だけでしたが、やっとあほな程の田舎町から出ることができたので、
憧れの恋愛を求めようかと思ってるんです!!
そして何よりもうれしいのは‥‥‥
周囲にはあたしを知る人が誰一人としていないこと!!!
「朝露さんおはよう」
「あ、おはようございます、チーフ!!」
たった今、挨拶を交わしたのはあたしの上司の
めちゃくちゃ仕事が出来てて、営業成績も良いからいつも表彰されてるんですよ。
あたしはこの庄司チーフについているんです。
仕方ないんです。新人研修担当なので。
こう言っては
周囲の人たちからいじられたりしてるんですよねー。
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………
庄司さんは「庄司みのる」と言って、「みのりん」と呼ばれているみたい。
そのたびに庄司さんは怒って営業に出てくれなくなります。
なんだかおもしろいですよね。
けれども庄司さんは‥‥‥あたし的に言うと怖い対象なんですよね。
小学生の頃にいじめられてたあたしを助けてくれた幼馴染が同じ名前で、
当時被害妄想の強かったあたしはみのるくんが好きすぎで、
顔を合わせただけで逃げていたんですよ。
後々周りから聞いたら、みのるくんはあたしがいるところでもいないところでもずっと守ってくれていたそうな。
だから勇気出して逃げていたことを謝ろうとした。
けど‥‥‥ご両親の都合上で引っ越しをしてしまっていたんだ。
もちろんそのみのるくんと庄司チーフが同一人物だとは思わない。
あたしの名前を聞いても全然知らない感じだし、あたしも庄司、という苗字ではなかったと思う。
「朝露さん?」
「は、はい!!」
「はは。どうしたの?僕の顔見て。なんかついてる?」
「いいえ、なんでもありませんすみませんでした!!!」
「いやー、面白いね、朝露さんは」
目を細めて少しだけ笑顔になっているのがわかる。
かわいい‥‥‥。
徐々に他の社員さんや同期が出勤してきた。
挨拶しながらあたしはなくなく庄司さんとの会話を終えて、トイレに向かった。
実はここにはめんどくさいおばさま方がいるんですよ。
庄司さんと仲良くしていたいおばさま集団は、あまりあたしを良く思っていない。
庄司さんが自分から研修担当すると言って、その先に女性が混じっているから気に入らないみたい。
あんたらの庄司さんじゃないからね、お局が。
なんて。
「おはよう朝露ちゃんーー」
「おはよユリちゃん!」
同期で同い年のユリちゃん。
彼女は庄司さんを見て一目ぼれしたらしい。
いやぁ、まぁ、確かに王子様キャラだしイケメンすぎだし‥‥。
あたしはもう少し完璧じゃない人の方がいいな。
それにあたしの恋はあのみのるくんだけだ!
みのるくんと同じくらいの人じゃなきゃやだな。
そんなこんなで、あたしは同期の子たちみんなと研修担当の庄司さんとの座学で1日は終わりを迎える。
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