きつく抱きしめられる。
苦しいくらいのそれが心地よくて、私は夢見心地で返事をした。
どんなに傷つけられても、私が最後まであなたを恨めなかったのは。
優しかったあなたを知っていたから。
私を好きでいてくれたあなたのぬくもりを、忘れることができなかったから。
その事実にずっと蓋をし続けていた。
都合よく、再び彼と仲良くなれることなんてないと、早々に諦めてしまったから。
「ねぇ、もっと。もっと、触って欲しい……」
彼の匂いにつつまれて、私はカズ君のシャツに手を忍ばせる。
しっとりと濡れた素肌が気持ち良くて、この胸板に顔をうずめられたらどれほど気分が良いだろうと思った。
自分も寝間着を脱ごうと
「ま、待て!」
その手を阻まれた。
「……その先は、歯止めが利かない。いいのか」
ぐっと刃を食いしばる表情は、お預けされる犬に似ていて
「今からやめても、利くの?」
どうせ眠れないくせに、と耳元で
「あー!たく!そうだよ、そういう奴だったよなぁ!なっちゃんは!」
降参、とばかりに、やけくそになったようにカズ君は上半身裸になり、私の服に手をかける。
「本来、やられっぱなしの性格じゃなかったよな」
「口答えするの、可愛くない?」
「クソ生意気だとそのぶん燃える」
服を脱がされ、ブラをたくし上げられると、ぷるんと胸がまろびでる。
口では煽るようなことを言ってしまっても、さすがに恥ずかしくて隠そうとすると、その手はあっさり取られてしまった。
「胸、大きくなったな」
ちろっと、突起を舌先でくすぐられるとびくんと体が跳ねた。
「あんっ」
「へぇ、かわいい反応するんだな」
カズ君は意地悪くにやりとすると、そのまま舌で触れるか触れないかのぎりぎりのところで乳首をくりくりといじめてきた。
優しく、というよりは、もどかしさばかりを生む感覚に肌が泡立ち、つい逃げ腰になる。
「こーら、逃げんな」
その度に体の自由を奪われ、舌を絡めるキスで甘やかされる。
「んっ、はぁ……舐め方、いじわる……っ!」
「そうか?」
わかっているくせに、今度は耳元に息を吹きかけられる。
あぁ、と我慢できない
そして、つっ――と。
耳たぶを唇ではみ、鎖骨までそっと舐められる。
「ひっ……!」
自分の知らない性感帯を指や舌でなぞられるたびに、自分の女性としての器官があらわになるようで恥ずかしい。
恥ずかしいのに、もっと、めちゃくちゃにされたくてたまらない。
つんと天井を向いた両方の乳首をきゅうっとつままれる。
「んんっ!」
強いそれがぴりっとした刺激を生むのに、尚も耳や顎を優しく舌でなぞられると施される快楽に体が蕩けていく。
「あ……もう、私ばっかり……!」
胸をむにむにと
身体の奥から、とろりとしたものが溢れるたび、私は足をすり合わせて耐えているのに。
悔しくて、彼のそこへ手を伸ばす。
下着越しのペニスは、ずっしりと重く、固かった。
「あは……おっきいね?」
わざと先端の部分を覆うようにこしこしとしてあげればカズ君は短く息をついた。
「このっ……煽るなっつの!」
鎖骨のあたりをきつく吸われると、薄い皮膚が沸騰するように
その刺激すら気持ちよくて、ペニスをきゅうっと強めに握ってしまった。
「ね……こっちもして?」
はっきりと輪郭の浮き出たそれを自身のそこに擦り付ける。お互いの下着ごしに、互いの熱が伝わる。
「濡れてるな……」
クロッチをなぞられると、潤んだそこがくにゅっと沈み、クリの輪郭がはっきりした。指先がそこをかすめる。
「んんっ……!早く……っ!」
脱がしてほしくて足をもじもじすると、その意図を組んでくれたようで手をかけられた。
「……嫌になったら、殴るなり蹴るなり、ちゃんと言えよ」
カズ君は私の膝を立てると、そのまま大きく開く。
私の静止よりも早く、誰にも見られたことがない秘部に顔を埋めた。