品行方正な生徒が集まる
この二つの大学は、隣接した敷地に背中合わせに立っており、当然ながら折り合いが悪かった。
揉め事はしょっちゅうで、特に争いを好まぬ清高校の生徒たちの悩みのタネとなっている。
「わたくしが生徒会長に就任したからには、これまでの関係を改善し、必ずや友情の架け橋を築いてみせます!」
そう
その紗季の前で、やる気のない拍手を送りつつため息を吐いたのは、前生徒会長を務めた
「今日で僕から君へ会長業務を引き継ぐことになるけど……。その業務の中に、隣の学校との交流は含まれていないよ」
「そうかもしれません。でもお隣の皆さまも話せば分かってくださるはずです。だって真心はどんな方でも持っているのですから!」
「面倒くさいから好きにすれば……」
錆島は二度目のため息を吐いて、目を輝かせる紗季を残して生徒会室を出ていこうとする。
扉を潜る前に、彼は顔だけを振り向かせて唇を歪めた。
「この学校はお行儀がいい生徒が多いけど、だからといって正義感に溢れてるとかそういう訳じゃない。教師に便宜を図ってもらったり、生徒会費を多めに計上したり……そんなのどこの代でもやってきたことだよ。僕だけじゃない。リコール活動なんて馬鹿みたいだ」
「それは錆島くんが私の話に耳を貸さないからじゃないの。何度不正を正してとお願いしても聴いてくれないから、リコール活動をしたのよ。でもそれも、学校とあなたを思ってのこと。このまま不正を続けていたら、両方ともダメになってしまうと思ったの。錆島くん、本当は私の真心、通じているんでしょう?」
「本当、君って……」
錆島は途中で言葉を切ると、少しだけ微笑みを浮かべて、生徒会室を出ていった。