「きゃああっ!?」
「あはは、捕まえた〜!」
がしっと足首を捕まれ、紗季は思わず大きな叫び声を上げた。
そのまま引っ張られ、ずるるる……と濁高校の敷地へと引き込まれていく。
「いや!離してっ!」
紗季は咄嗟に両腕を広げて、それ以上身体を引き寄せられないよう、清高校側の壁に手をついた。
「おい、無駄な抵抗やめろよ。こっちには十人以上の男がいるんだぜ。お嬢さまの細腕じゃ勝てねぇって」
「別にこのままでいいんじゃね?足掴んどけば逃げられないし、むしろこの方が上半身の抵抗がなくて楽じゃん」
「うっわ、お前って最低だな」
背後の下品な笑い声に、紗季はぞっと身の毛がよだつような心地がした。
両脚をバタバタさせようとしても、強い力で掴まれていて敵わない。
「お嬢さまのパンツは何色かな〜?あっは、やっぱり白のレース!」
「ひっ!?や……やめて!やだ!!」
スカートをめくられているのだと気づき、紗季は涙声で叫んだ。
足を掴まれてガニ股にされ、抵抗できないまま大勢に下着を見られている――。
屈辱と羞恥と、なにより恐怖で、紗季は全身をぶるぶると震わせた。
「動画と写真忘れんなよ。なぁお前ら、普通に強姦されて泣いてる映像と、強姦されてんのにイキまくってる映像と、どっち公開される方が嫌かな」
「そりゃイキまくってる方でしょ」
「だよな!おい、誰か電マとか持ってねぇの?」
「ばーか、学校にそんなもん持ってきてる奴いねぇだろ」
男子たちの場違いに明るい声に、紗季は「ひぃ……」とか細い悲鳴を上げた。
彼らの言っていることが理解できなくて、理解したくなくて、紗季は怯えきった顔で壁を振り返った。