少しだけ寂しかった。
なんだか‥‥大好きだったマサルがいなくなってしまった時のように。
やだ‥‥‥落ち込んでるし。
「朝比奈」
とぼとぼと下を見ていると、池田さんがいなくなった部屋の前に立っていた。
「朝比奈。おまえ‥‥‥」
「?」
「とりあえず、主役なんだから先に飲み屋連れてく」
まさか‥‥‥まさか‥‥‥
一緒に並んで歩くの!?
「どうした?」
あたしは感極まって泣きそうになる。
だって、実はあたし、池田さんが気になってたんだもん!
スラっとした高身長に、小顔でイケメン。
女性たちのあこがれの的なんだよ!?
「朝比奈?」
「あっ、はい!!??」
「‥‥‥」
やばい、
そう思ってしょんぼりしていると、頭をポンと叩かれた。
見上げればそこには
「ははっ。」
初めて見る池田さんの笑顔があって、好きだと思った。
こうしてあたしたちは二人、会社を後にする。
………
………
………
歩いていると次第に大雨が降ってきた。
確かに今日の夜から大雨で、外出制限を案内していたニュースあったなぁ。
これじゃ風邪ひくよ。
「朝比奈!走るぞ!!」
「はい!!」
大好きな池田さんの手に引かれてあたしたちはホテルに入った。