恋のはじまり

施設当主との最後のセックス

お願いします。

この死から逃げだそうなんて考えません。

心のどこかで思うことなんかもしません。

少しだけでいいから。

あたしに生をくれた神様が本当にいるなら、最後にもう一度あの人に会いたい。

くだらない会話して、笑いあって、将来の就職の話とかの相談とかもしたい。

全部は望んでいないよ?

あたしに幸せな時間をくれる人がいなかったから、あたしはこ思わなかった。

だけど当麻さんに出逢って、神様はあたしに心の温かさを教えてくださったのですよ?

だから最後だけ、あたしに時間をください。

どうか‥‥‥どうか‥‥‥お願い‥‥‥。

 

「まみちゃん?」

「‥‥‥」

当麻さん‥‥‥?

「まみちゃん!今先生を‥‥‥」

あたしは必死に当麻さんを止めた。

そしてつぶやけば、実感した。

「神様‥‥‥ありがと‥‥‥」

「まみちゃん‥‥‥?」

あたしはもうダメなんだ。

だから、神様ほんとうにありがとう。
………

………
「当麻さん、最後に‥‥‥会えてよかった」

「なに言ってるんだよ‥‥‥」

「もうだめだ。わかるんです。」

「君はまだ若いから!」

「しっ。静かにしてください。あたしが起きれたのは、、、神様が時間をくれたからです」

「‥‥‥」

当麻さんは悟って、ナースコールから手を放して、

ベッドの横にある椅子に、少しだけ乱暴に座った。

「あー、あたしって‥‥生きててよかったんですね」

「当たり前だ」

「こうやって‥‥‥」

「俺に出逢ってくれたね。まみちゃんの親御さんにも、神様にも感謝だよ」

当麻さん‥‥‥。

「ありがとう。だね」

当麻さんっ‥‥‥!!!!

「さ、ナースコールで‥‥‥」

「っく‥‥ひっ‥‥‥」

あたしはたまらず泣きだした。

 

今までどんなひどい事があっても、親に捨てられて一人で悩んできた。

一人ぼっちの世界でだけで生きていた。

けど、その一人ぼっち世界の原因となる人たちにすら感謝してくれた。

ここまで幸せな人生って、

「あぁ、‥‥‥幸せ、でした‥‥」

そう言えば当麻さんは、あたしの流した涙をすくって、

まぶたにキスをくれた。

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