恋のはじまり

高嶺の花

「ん-、原田はこの学校の一番の高嶺の花だね」

こいつから出てくる言葉一つ一つが外国語に聞こえてくる。

なんで俺が高嶺の花?

第一それは女に言えることだよな?

 

学校の始業のベルが鳴った。

それを聞いて柊木はクルっと踵を返して歩き出そうとしている。

「返事はまた今度」

「は?待てよ‥‥っ!!」

「オレ、冗談は好きだけど冗談じゃ本音言わないから」

わけがわからん!!!!

そう、叫んだのはきっとアイツも知らないだろう。

だってさ、心ん中で叫んだからな。はは。

ざまーみろ。って俺って性格悪だな、悪。

‥‥‥
‥‥‥

それからというものの、柊木はしょっちゅう構ってくるようになった。

しかもアイツも男だってのにべたべたしてくるし。

うぜぇ。

飯も一緒についてくるし、寝てれば上から覆いかぶさって抱き着いてくるし。

なんで俺は朝から家に着く前での時間をアイツに支配されてんだ?

優柔不断の本領発揮というのは、ほんと俺のことだ。

それはそう、断り切れないところ。

この話を考えているときも、こいつときたら‥‥‥

 

「ねー原田ー。オレのこと好き?」

「‥‥‥」

「まぁただんまりだ。よし、オレら付き合おう!」

「なんでそうなんだよ!!」

「さぁ?」

「っとに‥‥知らねーよ」

俺はあきれて笑ってしまった。

 

目の前でそれを見た一部のクラスメイトは、なんだか驚いている。

ったくなんなんだ‥‥‥。

キッとにらめば驚いてるクラスメイトは視線を変えた。

「原田。明日原田んちいってもいい?」

「なんでだよ」

「まぁまぁいいからいいから」

「?」

結局俺はこいつの話に乗るしかない。

つーかまじで俺一人暮らしだし、部屋きたねーぞ。

掃除洗濯しろってことかよ、まったく。

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