これまで、殆ど接点がなかった憧れの人。
その人の住んでいる部屋に、今、足を踏み入れた。
物は少なく、整理された綺麗な部屋だった。
彼によると、半年前に彼女と別れてからは一人でいるらしい。
「加藤さん……あの、」
1LDKのリビングに通され、ソファに腰掛ける事を勧められた。
程なくして、着替えを終えた部屋着の彼が隣に座る。
「そんなに構えなくていいよ。見ての通り、今は会社外の人間だからね」
そう言って、彼は手に持っていたビールをあおいだ。
「違うんです、その……っ」
私に残っていたのは、勢いだけだった。
楽しかった時間を、この心地よさを、もっともっと味わいたかった。
「あ……天野?」
後のことなんて、
気がつけば、私は彼に抱きついていた。
「加藤さんが……好きです。ずっと、好きだったんです」
「天野……」
彼が私の顔を優しく挟み込む。
額に、頬に優しくキスを落とした。
「そんなずるいこと言うと、こっちも止まんねえぞ」
「良いんです。その……そういう、覚悟で来ましたから」
そうか、と小さな呟きが聞こえた気がした。
彼は私の身体を強く抱き寄せ、唇を奪う。
緊張しきった私の口元を舌先でなぞり、僅かな隙間から舌を差し入れてくる。
「んんっ……」
思わず、声がこぼれた。
こんなに深いキスは初めてのことだった。
彼はディープキスをしながら、器用に私のスーツを脱がしていく。
唇が離れた時、私のシャツは全てボタンが外れた状態だった。
急に恥ずかしくなって、思わず両手で胸元を隠そうとしたが、彼の両腕がそれを阻止した。
「もっと、よく見せて」
そう言って、首筋から鎖骨へ、鎖骨から乳房の方へと舌を這わせる。
時々強く吸い上げられると、私の口からは甲高い声が漏れた。彼の吐息も、すぐ近くに聞こえる。
私が彼の頭を抱え込むようにしている間に、ブラジャーのホックを外され、ついに乳房が露わになった。
彼はしばし乳房に目を向けた後、その場に私をゆっくりと押し倒す。
「あの、恥ずかしい、です……あっ!」
彼の口が、私の乳首を包み込む。
舌先でつついたり、転がしたりと刺激されるだけで、私の身体はビクビクと震えた。
乳首への愛撫を続けながら、片方の手がスカートの中へ潜り込んでくる。
下着の上から敏感な箇所を撫でられ、私より一層甲高い声をあげた。
「ああぁっ……!そこ、は……」
「嫌なら、やめる?」
私は思わずぶんぶんと首を横に振った。
そんな私のことを見て、彼はくすっと笑ってみせた。
顔から火が出そうだった。
「あっ……、あぁ!」
彼はクリトリスを二本の指で挟み、大きく上下に動かしていく。
快感の渦が喉の奥から溢れ、声となって室内を響かせた。
いつの間にか下着を脱がされ、私は殆ど裸の状態だった。
「加藤……さん、んんっ」
名前を呼んでみた。
言葉はない。
代わりに、彼の口元が私の秘部へと近づく。
「あ、そんな、汚いですっ……!」
「いいから」
柔らかい舌先がクリトリスを舐めあげ、思わず腰が跳ねる。