「あれっ……」
気がつくと、私はベッドの中にいた。二日酔いで少し頭が痛む。
ぼんやりとした頭で、昨日のことを思い出すと、一気に顔が赤くなってしまった。
そっと隣を見ると、無防備に眠る彼の姿があった。
その寝顔はまるで子どものようにも見えて、思わずその頭を撫でる。
(もう一度、ちゃんと言わなきゃ。好きだって)
昨晩は、酔いの勢いだったかもしれない。
けれど、私の気持ちはその前も、今も、変わらずに残り続けている。
彼が目を覚ましたら、なんと言ったらいいだろう。
ああでもない、こうでもない、と一人で思考を巡らせていた。
と、その時
「おはよう、天野」
声が、聞こえた。
優しい彼の表情に、またしても抱きついてしまいたくなる。
もう一度、気持ちを打ち明けて、手を繋ぐまで――
――あと、数分くらいの距離だろうか。
- FIN -