麻友はグッと目を見開いて父の鋭い目を見詰めると、
「もうお父さんとはしたくない!」
と言った。
二人の間に妙な沈黙が流れた。
父の眉間に皺が一つ二つとゆっくりと現れ始めた。
麻友は少しばかり後退りした。
父の目に、逆立つ眉の下で妙な輝きを帯び始めた。
それは恐ろしかった。
父は無意識に表れた怒りを抑えて、笑みを浮かべると、
「どうして?」
と聞いた。
麻友は何か答えようとしたが、口が開閉するだけで、声が全く出なかった。
すると、父が麻友の肩に手を置いて、それに驚いて涙目になった娘に優しく笑ってみせた。
「なんでそんなに驚くのさ。どうしたんだ?ん?」
麻友は思い切って父の手を払い除けた。
「だっておかしいよ!なんで私がお父さんと”あんな事”しないといけないの?もう私…」
麻友はとうとう我慢出来なくなって、その場で泣いてしまった。
「何を言っているんだよ?えぇ?どうしてそんな事を急に言い出すんだ!?」
父も又、今まで抑えていた感情が爆発したようにこう怒鳴った。
突然、父は泣いて俯向いている麻友の顔を両手で持ち上げて、強引にキスをした。
麻友は直ぐに逃げようとして父の体を押した。
が、力が足りず、それどころか更に父の逆鱗に触れる事となって、麻友は窮地に立たされた。
父は麻友の華奢な体を自分に引き寄せて、抱き付くと、それを壁に押し付けた。
「もう…止めてよ!んんん…」
父は麻友の胸を服の上から激しく揉み出した。
麻友は左手で父の頬を何度も殴り付けた。
全くびくともしない。