私がこのネグリジェを買ったのは、もっと彼との営みを楽しみたいと思ったからだ。
彼と私の営みは、いつだって最高だ。
そこに不満は万に一つだってない。
本当だ。
最初に交わったときからずっと思っていることだけれど、きっと本当に体の相性がいいのだと思う。
この三か月、頻繁に会って体を重ねてはいるけれど、いつまでたってもその快感はたまらない。
少なくとも私は、ずっとその快感におぼれていたいと思う。
でも、いつまでもただつながる快感だけを頼りにしてしまっていたら、いつか飽きてしまうかもしれない。
二週間前だっただろうか。
急にそんな不安を抱いた(特に原因はなかったけれど)私は、いつもの夜に一味加えるためにこれを買ってみた。
その効果はてきめんだった。彼はいつもなら一度交わったら大体終わる。
上の口で一回、下の口で一回、射精することもあるから、二度射精することもあるけれど、大体つながるのは一回だ。
でも、昨日は二度、私を求めてくれた。
一度目はそのネグリジェを付けたまま、二度目は何も身につけず、ありのままで。
その時の彼は、「ありのままの君もみたい」と言って、そのネグリジェを脱がせてくれた。
そんなに求めてくれるのがうれしかった。
そして今、彼はまた私を求めてくれている。
やっぱり、このネグリジェの効果は抜群だったらしい。
私は彼の耳を甘噛みしながら、彼の頭を撫でた。
彼の髪の毛は少しだけ固くて、撫でるとごわついた感触が私の手に伝わってきた。
彼は体型も細くてしなやかだから、こういうところで男らしさを感じると、どきりとさせられる。
私が彼の耳を舌先で一度撫でると、彼の体がピクリと反応するのが感じられた。
「どうしたんですか、浩太郎さん」
「僕、耳は弱いんだ」
「知ってます」
「でも、君もだろう?」
彼も仕返しをするように私の耳を甘噛みした。
彼の甘噛みは、いつもくすぐったい。
「くすぐったいです」
「いや?」
「ううん」
私は彼を抱きしめた。
細い体つきだけれど、彼の肩にはしっかりと筋肉がついていた。
そこにまた私は彼の男らしさを感じてしまって、ジワリと下の口が湿っていくことを感じた。
「少し、喉が渇いたなぁ」
彼はわざとらしく言った。
私は押したおされて、少しだけネグリジェの裾をめくられた。
そして彼は私の女の部分に口を付け、愛情をすすった。
くちゅり、という生々しい音がして、私の熱と一緒にそれは吸い取られていった。
「もう濡れてる」
「だって」
「だって?」
「んんっ!」
私が答えようとすると、固く勃起したクリトリスをちろりと一舐めされた。
私は感じてしまって、何も言えずにただあえぐことしかできなかった。
「おいしい」
彼はいやらしい微笑みを浮かべながら、私の顔を見上げた。
彼は口の周りを。
舌でくるりと舐めた。
そのしぐさが妙にみだらに感じられて私はまた、どきりとしてしまった。
再び彼は、私のまたぐらに顔をうずめた。
そして、丁寧に
彼の唾液と私の愛液が混ざりあって、どんどん私の中を濡らしていくのを感じた。
「あぁぅん……」
声が漏れてしまうのが、どうしても止められない。
彼の愛撫はあまりにも気持ちよすぎて、私は我慢できなくなってしまうのだ。
「ねぇ」
「ん?」
彼は熱い愛撫の合間に、私に声をかけてきた。
「僕のも、舐めてほしいな」
「うん」
私も喘ぎ声の合間で、短くそう答えた。
その答えを聞いた彼は、シックスナインできるように、もぞもぞと体勢を変え、私の顔のあたりに股間が来るあたりで体を止めた。
私は彼からパンツをはぎ取るのももどかしく、すでに固くたぎっている彼の肉棒を窓から引っ張り出した。
それは勢いよく私の目の前に飛び出してきた。
ずるりと皮がむけ、生々しい欲望を感じさせるそれは、私の欲望もたぎらせた。
体の中心から熱くなっていくのを感じた。
私が口に含む前から、彼のそれも濡れていた。
私は先端からゆっくりと口に含んでいった。
つるりとした表面は、しっとりとしていて口当たりもよかった。
彼のそれは大きくたくましいけれど、私の口に含むにはちょうどいいサイズだった。
大きすぎず、小さすぎず、ちょうどいい。それが一番だ。
昨日あれだけ交わっていたというのに、彼のそれからは、嫌な臭いや味はほとんどしなかった。
なぜ、いつも彼の肉棒は熱と欲望だけを感じさせてくれるのだろうか。
私は、彼のそれをくちにつけるたびに思う。
くちゅり、くちゅりと愛撫の音だけが部屋の中に響いていた。
私たちは口で語り合っていた。
しかし、そこに言葉は一切なかった。
そんな無粋なものはいらない。
今必要なのは、欲望と、熱と、体だけなのだ。
「ふぅ、ん、んん…」
どちらのあえぎ声かは分からない。
でも、私たちは一心不乱で互いの性器を舐めていた。
快感が体の中にじんわりと広がっていく。
頭がぼんやりとしてくる。ただ、彼の欲望を味わい尽くす。
その思いだけで、私は口を動かした。
口を上へ、下へ。舌を右へ、左へ。
それはどくどくと脈打ち、徐々に硬さ、太さを増していくのを口の中で感じた。
彼が指も中に滑りこませてきた。
じんわりと優しく広がっていた快感の中で、一筋の鋭い快感が突き抜けた。
その快感が、体の中にたまっていた快感を伴って、私の頭のてっぺんまで一筋に貫いた。
「んんんっ!」
彼をくわえながら、それでも声が上がってしまうのをおさえることができなかった。
私の腰がビクンと大きく跳ねるのを感じた。
私は一足早く絶頂を迎えた。頭がぼんやりしている。
ずるい私だけ気持ちよくするなんて。私も手を使ってやる!
ぼんやりとした意識の中で、なぜか強くそう思った私は、手も使って何度も、何度も、彼の肉棒をこすり上げた。
「んん……、出る……」
彼が苦しそうな声を上げた。
そして、私の口の中に勢いよく彼のミルクが流れ出してきた。
彼がそれを引き抜くときにも、ミルクを一滴もこぼさずに飲めるように、口をすぼめて搾り取った。
抜き取られたそれは、欲望をすっかり吸い取られつくして、しおれていた。
口の中にうっすらとしたしょっぱさと、ほんの少しの苦さが広がっていた。
彼の愛液。私はなぜか、この味が好きだった。
私はごくりとそれを飲み干す。喉を伝って、それはゆっくりとお腹の中に滑り落ちていった。