ここで亨は知った。
悠奈は自分を見てくれていないことを。
亨は悠奈を良太から離して引っ張り歩き出す。
「亨・・待って・・」
「まさかゆなに暴力してるわけじゃねーだろな」
「んなわきゃねーだろ。あんたが何かは大体察する。けど、これ以上お前の存在で悠奈を惑わしてほしくねぇんだ!!」
怒鳴った後に亨は無理やりディープキスを悠奈にした。
暴れるがまったくかなわずで、長く、長く、キスをしている。
それをみた良太の何かがプチンと切れる。
「おい、ゆなから離れろ」
キスをしている亨に言った。
が、亨は視線を良太から離さずまっすぐとみている。
「もう一度言う。ゆなから離れろ」
そこでようやく悠奈を開放する。
「言っとくがお前の忠告を受けたからやめたわけじゃない。悠奈が苦しいだろうからやめただけだ。帰るぞ悠奈」
が、悠奈は動かない。
「悠奈?」
「亨ごめん。あたしは・・・」
「悠奈。俺を選べ」
「亨、まず早く帰って。お兄ちゃんは切れたら何するかわかんない。だから帰って。ごめん」
悠奈は涙しながら言った。
それにつられて泣きそうになる亨は何も言わずにそこから立ち去った。
「久保田くん!」
女性の声。
あきらかに以前あった女性だ。
「大丈夫!?警察呼ぶ!?」
「ゆ・・・・」
「久保田くー・・・・「ゆな!」」
女性の存在など無視して良太が呼ぶのは悠奈。
「お兄ちゃん・・」
「本当に暴力は受けてないのか」
「うん。本当だよ。ごめんねお兄ちゃん」
「頼むから・・・お兄ちゃんはやめてくれよ」
「え?」
悠奈が駆け寄ると良太は悠奈を抱きしめた。
ぎゅっと、強く、優しく。
良太の女性は不機嫌そうにその場からいなくなっていた。
「ゆな」
「お兄ちゃんほほ痛い?」
「名前は?」
「え??」
「俺の下の名前だよ」
「?良太?」
「正解」
そう言い良太は顔を上げて笑って、それから悠奈にキスをした。