恋のはじまり

年上上司はお上手で

この声‥‥‥え‥‥‥??

「かかかか‥‥‥亀田さ、ん‥‥‥」

まさかまさか‥‥‥

このタイミングでぇぇぇえ!!!??

ちょっと待ってくださいよ!!

あたし‥‥‥クビ覚悟しなきゃ‥‥‥。

「‥‥‥良い傾向だ。」

「へ?」

「そうだな。確かに俺の知る谷山だな」

‥‥‥あたし‥‥‥

今、亀田さんに褒められた‥‥‥?

「だから早く帰る―‥‥‥なんで泣いてるんだ!!??」

初めてだ。

亀田さんが‥‥‥

「‥‥‥まぁ泣け。確かに仕事押し付けすぎたか。悪いな」

「ちが‥‥‥」

違うよ。

亀田さんが褒めてくれるのって初めてだったから。

「なんでそんなに泣いてるんだか」

あたしの顔を覗き込んできた。

思わず顔をそむけてしまった。

「あ、俺の顔も見たくないか。先に帰るな」

気が付けばあたしは、亀田さんのスーツの袖をつまんでいる。

「違う、です。あたし‥‥亀田さんに初めて優しい言葉をもらったから‥‥‥」

「俺は鬼か」

「近いです」

「あのなぁ」

「はは‥‥緊張の糸がほつれただけです。すみません」

「‥‥‥お前はこの会社をどう思う?」

「え」

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