マニアック

裏切られた二股セックスの結末

やられた!まさかの二股返し!

圭太君の誕生日まであと3日と迫った日、その日は新宿で映画を見るために達也君と再び
会う約束をしていた。

そろそろ圭太君の誕生日プレゼントを買っておかなくちゃ。

どんなものをプレゼントすれば、喜んでもらえるだろうか。

私は1週間ほど前から考えていましたが、誕生日プレゼントは、圭太君が好きなブランド
ショップに行き、めぼしい物を買おうと決めていた。

達也君との映画の約束を新宿にしていたのは、百貨店に寄ってから遊ぼうと思っていた
からだ。

急いで先に百貨店に向かい、店に入ってエスカレーターに乗っている時、そこから周りの
店内を見渡す。

紳士フロアを歩いているだけでも気分がいい。

きっと、周りから見れば、女性が紳士フロアの店を見て歩いているということは、
誰か男性のために買いに来たんだと思われているに違いない。

何だか鼻が高いというか、心がウキウキしてたまらない。

そんなちょっと浮かれ気味だった私が、ある紳士服洋品売り場に差し掛かろうとしていた
時のことだった。

「ねぇ、圭太にはこれがいいんじゃない?」

甘えた女の声が聞こえた。
………

………

うん?圭太?

圭太という名前に反応して、思わず私は、早足でその店の前を通過する。

少し離れた場所から、バレないように柱の陰に隠れてもう一度眺める。

すると、そこにはあの圭太君がいたのだ。

えっ?圭太君?

圭太君だと確信した私は、彼に声を掛けようと近付こうとしましたが、すぐにその足を
止めました。

よく見ると圭太君と派手な女が2人で洋服を選んでいる。

遠目で見ても男と女の匂いがする。

あの女誰なんだろう、彼女だろうか?

気になって仕方がない。

どんな会話をしているか私は聞きたくなって、バレないように少しずつ近付いてみた。
………

………

「他に何か欲しい物は?」

「ここじゃ言えないよ」

「もぉ~、圭太のエッチ。また下ネタ~」

あれ?今あそこにいるのって、本当に圭太君?

そう思ってしまうほど、今他の女と一緒に目の前にいる圭太君のキャラは、私の知って
いる圭太君とは違う。

たぶん、女に合わせてキャラクターを変えているんだ。

その徹底された戦法は、私と同じだった。

私も飲み会などで出会った男とは、毎回違うキャラでアプローチすることにしている。

しかし、なぜなんだろう。

普通ならこのような現場を目撃したら、とても腹が立ち、許せない気持ちでいっぱいに
なるはずだけど、不思議と私は冷静で、嫉妬もなかった。

別に圭太君がダメでも、もう一人達也君をキープしているからだろうか。

いずれにせよ、買い物の前だったので、出費をしなくてよかったとさえ思った。

 

「麻衣の誕生日は口紅でいい?」

圭太君が言った。

「えっ、口紅?」

「俺とキスをした時のためにね」

私のセリフを使って、他の女をうっとりさせていた。

こんな二股返しがあるとは、全く無駄のない男だった。

悔しい!

さすがにこのやり取りを見ていて、少しずつ悔しい気持ちが湧いてきてしまった。
………

………
まあいいや、達也君もいるし。

危うくあのゲス男なんかのために、高価なプレゼントを買ってしてしまうところだった。

危ない、危ない。

そう自分に言い聞かせながらその場を離れると、頭の中のもやもやが吹っ飛び、私は外に
出て達也君に電話をする。

「お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません」

えっ?どういこと?

私は耳を疑った。

慌ててもう一度かけてみる。

同じアナウンスが虚しく流れる。

私も、圭太君も、達也君も、来る物拒まずで、恋愛に欲張りの同じタイプである。

お互い様なのは、わかっていた。

「やられた!」

私が二股をして2人を天秤に掛けていたのと同じように、彼らも他の女と私を天秤に
掛けて二股をしていたのだろう。

3人とも似た者同士なわけだから、このような結末になっても仕方がない。

結局、今回もまた失敗に終わったというわけだ。
………

………
まあ、いつものことだから、そんなに大きなショックはないけど。

次にまた頑張ればいいだけのこと。

よし!久美子に電話をして、次の飲み会の設定をしてもらおう。

私は空を見上げた。

空は今にもポツポツと雨が降り出しそうな曇り空になっている。

まるで、今の私の恋に破れて傷付いた心の中を表しているようだ。

 

それから十数年・・・。

アラフォーの39歳になった私は、結婚して今は田舎暮らしだ。

圭太君や達也君とは、あの二股発覚以降、二度と会うことはなかったのですが、
それから2年後に出会ったのが、5歳年上の今の旦那さん。

今の旦那さんとは、出会ってから1年後の29歳で結婚。

農業系の大学に通っていただけあって、お米や野菜などを自分で作って、自給自足する
生活に憧れがあったとか。

私も将来的には都会よりも、自然の中で暮らしたいと考えていたので、結婚を機に田舎に
移住して、古民家を自分たちでリフォームして暮らすようになりました。

空気や水もきれいで、自分たちで作った食材も新鮮で美味しいものばかり。

そして、何より今の旦那さんは、とても優しくて頼りにもなる。

もちろん、夜の方も圭太君や達也君にはない、年上の優しさや落ち着きがあり、
週に2回ほどのペースではあるけど、十分に満足させてもらっています。

40歳を目前にして、ようやく心も体も相性のいいパートナーを見つけ、幸せを掴む
ことができたのです。

今の私の心はこの田舎の澄み切った青空のように、晴れやかな心になったと言える
でしょう。

そう言えば、圭太君と達也君と決別したあの日の帰り道に見上げた空は、今にも雨が
降ってきそうな曇り空だったなぁ・・・。

こうして澄んだ空を見上げる度に、20代のあの懐かしい日を思い出している。

- FIN -

\ 官能小説ランキング参加中 /

\ ポチッと応援お願いします /


blank

1 2 3 4 5
RELATED NOVEL

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。