彼の肉棒を見るときはいつも、みなぎり、たぎっている。
若さを持て余したそれは、私の欲望を満たすのに十分なものだった。
「気持ちいい?」
「とても」
工藤先生は頬を上気させながら言う。
私は工藤先生と不倫している。
隆を見てもらうようになってから三か月ほどたったとき、私が誘った。
それまでも、今日みたいにリビングで休憩してもらっていたから、誘うのは簡単だった。
小学二年生の子供はいるけれど、私はまだ三十歳。
彼ともひどく年が離れているというわけでもない。
旦那は、悪い人ではない。
でも、セックスで彼が私を満足させてくれたことは、これまでの人生で一度だってなかった。
だから、隆が生まれてからは、ほとんどレス状態だった(とはいっても、まれに体を交わし合ったりはしたのだけれど)。
つまり私は、飢えていたのだ。
誰かともう一度、情熱だけをもって交わりあってみたい。
そんな風に思っていたところに、彼が現れたのだ。
そんな飢えた私の誘いに、彼は情熱的に応えてくれた。
その日から、私たちの関係は始まった。
それからもう半年、この関係は続いている。
私たちは外でデートはしない。
この家で、隆の勉強が終わった後にこうして交わりあっているだけだ。
不倫、というよりは、セックスフレンドと言った方が正しいのかもしれない。
フレンド。
セックスするだけの、ただの、友達。
工藤先生にも大学生の彼女がいるらしい。
だから彼も、家の外では会いたがらない。
きっと、彼も私との関係のことは、同じように考えているに違いない。
私は毎週、この時間が楽しみだった。
土曜日の午後四時。
主人の休みは日曜日と水曜日。
土曜日は仕事だ。
帰ってくるのも八時をすぎたころ。
この時間は、誰にも邪魔させない。
隆に気付かれないように、熱く、熱く交わる。
その緊張感、背徳感は、私たちの欲望を加速させた。
「優香さん、どうしてそんなにうまいんですか、すぐにイきそうになります……」
「うまいかな、嬉しい」
「旦那さんで練習したんですか?」
「そんなんじゃない」
彼はたまに、やきもちを焼いたようにこんなことを言う。
本心かどうかは分からないけれど、それがとても私にはうれしかった。
もちろんさっきの言葉は本当だ。
旦那のこれは、彼のものよりも一回りは小さかったし、感じにくかったから口で慰めた時に褒めてもらったことは一度だってない。
けれど、そんな私を彼は褒めてくれる。
ぐちゅぐちゅと私の唾液と彼の愛液が混ざりあう音だけが部屋に響いていた。
二階からはごそごそと隆が動く音が聞こえてくる。
隆はさっき宣言した通り勉強をしているようだ。
「あ、ん……」
彼は上の階に聞こえないように声を抑えようとはしているが、それでも吐息は漏れてしまうようだった。
もっと感じてほしい。
そう思って、私は、彼のシャツの下から手を差し入れて、彼の乳首を指先でつまんだ。
「んんっ!」
彼の喉から漏れ出る吐息。
「ここも感じるんでしょ」
「はい……」
「じゃあもっといじめちゃおう」
「今日はいつもよりも積極的ですね、優香さん」
「先週は会えなかったから、寂しくて」
「僕も寂しかったです」
先週はどうしても外せない用事があって、授業の終わりを見届けた後すぐに出かけなければならなかったのだ。
だから、こうして彼に欲望をぶつけることができなかったのだ。
「お世辞でもそう言ってくれるだけでうれしい」
「お世辞じゃないですよ」
彼はそういって、私の頭を優しくなでてくれた。
彼の手は細く、しなやかで、とても男性の手とは思えないほどの繊細さがあった。
私はこうして、彼に頭を撫でられるのが好きだ。
最近誰かにこんな風に頭をなでてもらった記憶はなかった。
私は彼の大切なものをくるり、と舌先で舐めまわした。
「っ……」
鋭く、突き抜けるような吐息。
それは彼の快感を表しているような気がして、私は嬉しかった。
私は再び口をストロークさせる。彼のものは太く、たくましかった。
歯を立てないようにするのは難しかったけれど、やさしく、何度も吸った。
彼の気持ち全部、吸い取るような、そんな気持ちで。