「さきほくん?」
あ、あたし部室でうたたねしてたみたい。
「部長、ごめんなさい少し眠っていた様子で…」
「いいんだよ。それより…僕らも卒業だね」
「そうですね…」
「藤村くんもよく入ってくれたよ。あの時は人数がいなくて廃部決定って言われてたし」
そういえば、そうだった。
廃部とか考えていなかった。
むしろ忘れてて今驚いた。
「藤村くんには感謝だ!暇な時間を割いてきてくれるしね!!」
「部長言い方。沙耶くんは忙しいのに来てくれてるんです」
「あははーそうだね!」
「わかってんのか…」
笑いながら部長が帰ると言って部室入り口を開けると沙耶くんが立っていた。
「部長。俺はただの数合わせだったんですか?」
「え!?いやぁ!!そんな!!!!!」
「隠さなくてもいいんですよ」
「あ!そうだチョーッと用事が…」
走って逃げるは部長。
「あ、の、沙耶くん」
沙耶くんは部室に入るなり扉と鍵を閉めた。
………
………
怖い。
でもチョコっていうかあたしの気持ちの答えが欲しい。
だって…今日だよ?
3月14日のホワイトデーは。
「さきほちゃん。俺はただの数合わせ?」
「…あの時はね」
「今は?先月にくれたチョコはその内容なの?」
「ちが…」
「違うの?だって俺以外にもあげてたじゃん。チョコ」
「本命は!違う!!」
「全部うそだ。うそつきは嫌い」
胸が締め付けられた。
ただただ、あたしは沙耶くんが本気で好きになっただけなのに。
なんでこんなにこじらせてるの?
「さようなら。おかえしは準備していないです」
待って。
あたしまだ言ってない。
ちゃんと好きですって。
誤解しないで。
お願い。
「沙耶くん!」
あたしは鍵を開けようとしていた沙耶くんの手を叩いて離した。