それはいつもと変わらない日だった。
朝、目を覚ますと、コーヒーの香りがした。
これは旦那がコーヒーを落としている音と香りだ。
それからしばらくすると、コップを落とす音がする。
割れたような音だったので慌ててベッドから出て旦那のいるリビングへ行った。
「
「‥‥‥‥‥‥」
まずい、と本能が察知した。
「誰のせいだ」
「え‥‥‥」
「誰のせいでこのコップは割れたんだ」
「それは‥‥‥その‥‥‥」
「俺か?」
言葉に詰まる。
怖い。
けど喋らないほうがもっと怖い。
「あたしが‥‥‥朝に要くんよりも遅く起きたから‥‥‥あたしのせい‥‥‥だね」
視線をまっすぐ向けられる。
それだけでまた、恐怖となる。
本能が察知した通りに、あたしはお腹に痛みを感じた。
「いっ‥‥‥!」
割れたコップの大きいところを、思い切り投げつけられたから。
「なんで起きるの遅かった?」
「だって昨日は―‥‥‥」
昨日は深夜まで残業していて、疲れ果ててからの激しいセックスで、
休む時間なんかなかった。
だから寝坊した。
「続きは?」
………
………
「昨日、気持ち良くしてもらってぐっすり眠ってしまったから‥‥‥」
これがあたしの逃げ道だ。
「それはそれは、誰のせいだ??」
「だ、誰のせいでもない―‥‥」
「だったら今から誰のせいかわからせてやる」
「や‥‥‥!!」
あたしは怖さに怯えてしまって、その場にしゃがみこんでしまう。
そこを抱えられてベッドに連れ込まれた。
思いっきりバウンドするくらい乱暴に投げ込まれる。
「お願い!!ごめん!!だから‥‥‥」